監督で有り脚本家の〝フィリップ・カウフマン〟初期の作品は、伝説の強盗団を描く。
西部開拓時代末期、銀行強盗・列車強盗・駅馬車強盗・殺人など数々の襲撃事件を州を跨り各地で犯す、極悪非道の無法者集団〝ジェイムズ=ヤンガー・ギャング〟最後の強盗事件はミネソタ州ノースフィールドの銀行をターゲットにする。
〝コール・ヤンガー〟や〝ジェシー・ジェイムズ〟など悪名高き無法者が中心に構成されているが、彼らの兄弟達も団に含まれ血の繋がりが信頼・結束力を高めた事は後のマフィアのファミリーにも共通する。
しかし南北戦争末期の時代背景を考えると、南軍も北軍も互いに残虐行為の無法地帯と化していたアメリカ。
正に時代が作り出した〝ジェイムズ=ヤンガー・ギャング〟。
事実、彼らの行為を応援し歓喜する人々や政治利用をされる事さえあったと言う悲劇のような喜劇。
そんな無法者集団を〝フィリップ・カウフマン〟がどう描いたのか…。
当時のファッションは詳しく良く知らないが、特にミネソタに入る高めのクラウンハットは広めのブリムに寄れたサイド・白のロングコート(牛買いに変装)・髭・ブーツ…は、現代のファッションに共通するものが有る。
その姿が土埃で汚れ野蛮さと欲望を醸し出しながら、淡々と馬を乗りこなす姿勢が凛とし弱肉強食の命を懸けた覚悟が伝わる。
尺も程よく映画の作りもシンプルに作られ見やすく楽しめる。
話せば分かる…が通用しない抑制が効かない欲望に満ち溢れた相手に、そんな説得をしている間に皆殺しにされ全財産を奪われる。
無法者の末路は決まっているが、それでも無法者は今もなくならない..★,