異形への愛、ティム・バートン シリーズ⑤(ラスト!)
ティム・バートンシリーズ最後は初監督作品のこれを。まあ初だからすこし監督色はないんだけど(マンガも小説も映画も最初はこんなもんじゃない?)それでも「異形への愛」は健在だ(半ば強引に)。
今作ではそもそもピーウィー・ハーマン自体が異形なのよ。実際彼のその後の転落を知る僕らにとっては(いただけないことに性犯罪。田代まさしと同格である)、「ティム・バートンはピーウィーがその後に闇オチするのをまさか知っていたのか」というあらぬ妄想まで抱かせるの(いやそれは考えすぎか)。
まあ見ているときは不快な笑い声に気持ち悪い動き、さらには羽田圭介と久米宏を足して2で割った風貌など正直「異形」以外のなにものでもない。しかもギャグがそれほど面白くないというおまけつきだ(見ているものはピーウィーがン身近にいたらどうしようという不安だけ増幅される)。大丈夫か、この映画。
それでもたまにティム・バートン色はあるので後付けで見ている僕らとしては無駄にティム・バートンを探して安心するという行為を繰り返す作品だ(ピーウィーの家の飾りつけや夢のシーンなどにその「安心」が見れる)。ああお前、ティム・バートン監督でなかったらこんな映画観ないだろ!……はい、おっしゃる通りです。
あ、最後の映画スタジオのドタバタだけは面白い。ドリフ顔負けの展開で少しだけ映画になっている。日本のゴジラが出てくるとこで少しニヤニヤ。
ラストは映画好き中2だったら必ず考える「メタフィクション」構造。よく言えば「81/2」だけど悪く言えば「シベリア超特急」。水野晴郎先生のドヤ顔が浮かんでくるのは僕だけではあるまい。
正直見るか否かと言えば「否」な作品だけど、これでティム・バートンはコンプしたと安心するならお安いものである。映画好きに会ったときにマウントもとれるしね。「何?お前ティム・バートンの劇場第1作も見てないの。それでよくファンだなんて言えるね」。全くシネフィルはろくなもんでないよ。そもそもシネフィルなんてオシャレな言葉使うなかれ。映画マニアだよ。マニア。しかも何も生産性のない自家薬篭中の。誰って……俺やで!