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マージン・コールのucandoitのレビュー・感想・評価

マージン・コール(2011年製作の映画)
4.5
リーマン・ブラザーズの破綻前の話。
割合と近い業界で共通点のある仕事をしていたので面白く鑑賞しました。
良く書けている脚本だと思います。
ハード・ファクトを軸にした会話劇。
大人の映画ですね。

以下ネタバレ備忘録。



玉石混交のMBS(住宅ローン証券)をパッケージにしたインチキ商品CDOを大量に流通させたバブル(ブーム)で大儲けしたウォール・ストリート。
その破綻の日を間近に感じながらも踏ん張り利益を極大化するチキン・レース。
そして破局が現実になる時にジョーカーを誰かに押し付ける背信。
そんな中で冷徹なゲームをプレイし続けるオーナーのジョン(ジェレミー・アイアンズ)と若手エリート幹部ジャレッド(サイモン・ベイカー)。
うんざりしながらも結局金のために共犯者となる中間幹部サム(ケヴィン・スペイシー)。
カネ以外何も残っていない彼が元妻が住むかつての豪邸の前庭に愛犬の死体を埋める穴を掘り続けるラスト。
デミ・ムーアも同じような役回り。
ヘッド・トレーダーのウィル(ポール・ベタニー)はクールに振舞いながら悩む複雑な役どころ(好演)。
問題の深刻さに誰よりも深く気付き研究していたエリック(スタンリー・トゥッチ)は突然のリストラに会い解雇された。
しかしポジション清算の日に口封じのためにオフィスに戻り100万ドルを得る。
昔エンジニアとして建設に携わった実業(橋の建設)に誇りを感じながらカネの誘惑には抗えない。
純粋でカネに疎いリスクマネージメント担当のロケット・サイエンティスト、ピーター(ザカリー・クイント)がエリックに託された課題を解明したことで一夜の物語が始まる。
トップのミーティングで大胆な対策が決定され実行される。
この辺の素早さと割り切りの良さ(捨て身の損切り)は日本人にはなかなか真似できないです。
(日本のバブルでは「飛ばし」という時間稼ぎに逃げた会社がほとんどだった)。
そしてそれが他人の痛みになることに痛痒を感じないクールさはアメリカ的と言えるのでは。
多くの社員が解雇される中、ピーターの数字に対する才能は上役の目にとまり多分金融工学の専門家(インチキ商品を考え出す人)として昇進する。
そのあとのリーマンを思えば決して幸運なポジションではないが。
しかし10年以上経った今、CDOそっくりのCLOが市場に溢れていて農林中金や郵貯が何を狂ったか大量に買わされ大きなリスクを負っている。
若手のトレーダーで思わぬ高収入が短期に終わる小物の俗物セス(ペン・パッジリー)。
ゴッシップガールの人ですね。
上の方の人たちの仕立ての良い背広姿がかっこいいです。
ケヴィン・スペイシーを除いてw。
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