猫脳髄

知りすぎた少女の猫脳髄のレビュー・感想・評価

知りすぎた少女(1963年製作の映画)
3.5
アルフレッド・ヒッチコック「知りすぎていた男」(1956)を意識したタイトルだが、シナリオは異なる。イタリアの「ジャッロ」(大まかにミステリ)映画の嚆矢に位置づけられる。

怪奇映画の名手、マリオ・バーヴァのディレクションなのでさぞやと想像したが、意外にロマンチック・コメディの性格を備えた王道のミステリ作品に仕上がっていた。バーヴァには他にコメディ作品がいくつかあるようで、必ずしもホラー・怪奇に特化した監督というわけではないらしい。

本作ではバーヴァ含めて6人が脚本に携わっており、イタリア初ジャンルに意欲ととも苦労の跡がみられる。撮影もバーヴァが担当し、冒頭の飛行機や、犯罪が行われるローマのスペイン階段での長回し、主人公が担ぎ込まれる病院のシーンに謎の脅迫者に会いに行くところなどユニークなショットが散見される。

ただ、シナリオに未処理の部分(謎が謎のまま)が多いことに加え、主人公の内心をなぜか第三者の男性がナレーションしていたりと、慣れないなかの工夫と想像するが、ややぎこちなさが目立つ。
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