イングマール・ベルイマン監督が、1980年、西ドイツ映画として撮った映画。(セリフは英語)
「プロローグ」と「エピローグ」のみカラーであり、大半が白黒映画。
ある男が娼婦らしき女を殺す「プロローグ」から始まる。
男の名前はピーター。
殺した後、肛門性交したということが語られる。
この後は、時間軸が前後して物語が展開される。
「殺人の何週間か前」…ピーターが友人の医師に『自分の殺意が怖いんです。妻を殺す衝動がうまれそうなんです。』という危険な発言に対して、医師がピーターに『薬物などで人格を消すのは簡単だ。自我を消せば、不安もなくなる』と言うが、「おいおい、なんだか危ない感じの映画だなぁ~」と思いながら観る。
その医師は、ピーターの妻カタリーナを電話で呼び出してセックスしようとするが、生理だと言ってカタリーナは拒絶する。
そのやりとりを陰から見ている夫ピーター。これも恐い。
「事件の2週間後」のピーター母親の独白、「破局の5日前」のカタリーナが『いつも見ている周囲のものが、見知らぬものに感じるの…』、「破局の4日前」では「鏡の中を見る男」、「殺人の3日後、ティムと捜査官」でのホモ男のティムが捜査官に『ピーターに、売春婦“カー”なるカタリーナを紹介した』と語る。
ここで、「えっ、殺された売春婦はカタリーナ、奥さんだったの? だけど、奥さんと顔が全然違う気がするなぁ~」と思ったりする。
更に、「医師にあてたピーターの手紙(投函されなかった)」ではピーターの夢の話。
ピーターと妻の素っ裸シーン。
「破局の2日前、ピーターが自殺を図る」では飛び降り自殺を友人男性が止めさせるエピソード、「破局の3週間後、カタリーナとピーターの母親」を経て、「破局の50分前、ピーターが売春婦カーを訪れる」ではピーターのセリフ『出口なしだ(There is No Way Out.)』。→このセリフ、日本ヘヴィメタル代表格のラウドネスの歌詞みたいだ(笑)
そして「事件4週間後の晩、医師が分析する」というエピソードに続くが、上記のとおりカッコ書き(「…」)で示したとおり、時間軸の前後が激しい映画であった。
本作では、他のベルイマン監督作品にある美しきシーンが見当たらない。
部屋の中が大半で、自然を描くシーンがほとんどない作品なので已む無しだと思うが、やはりベルイマン作品であれば「ハッとするシーン」が観たい。
ピーターと妻カタリーナの全裸シーンを美しい、と捉えられなくもないが、ハッとするほどの衝撃は感じられなかった。