ハレルヤ

若者のすべてのハレルヤのレビュー・感想・評価

若者のすべて(1960年製作の映画)
3.9
イタリアの南部から長男が住んでいる北部のミラノへやってきた未亡人のロザリアと4人の息子たち。希望を持ってこの地にやってきたが多くの現実に翻弄される一家の様子を描いたヒューマンドラマ。

日本のバンド、フジファブリックの楽曲で同名の曲があり、僕自身も大好きな曲です。でもこの映画はまだ見たことない。ストーリーも面白そうと思い鑑賞しました。

イタリアの南部と北部の経済格差。日本だと感じられない実態ですが、5人の家族の姿を通じてその現実を思い知らされます。

結婚して裕福ではないけど自立している長男のヴィンチェンツォ。ボクサーとして生きようとするも現実と直面し、娼婦のナディアと堕落した生活を送る次男のシモーネ。そして本作の主役三男のロッコ。正義感が強い四男のチーロ。まだ子供で幼い五男のルーカ。

全く違う立ち位置にいる5人。中でもやはり三男のロッコを演じたのは絶世の美青年と言われているアラン・ドロン。「太陽がいっぱい」と同じ年の作品らしく、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼の姿は必見ものです。

とにかくシモーネがドクズ。借金だらけな上に娼婦のナディアを引っ張り回す。そして終盤では…という感じ。

その実の兄であるシモーネを何とか助けようとロッソは奔走。借金を肩代わりし、ボクシングの試合に出場する。

やはりロッソが甘やかしすぎだと思う。ナディアを巡る騒動に関しても、あれだけの事をされたら普通は絶交ものだし、対応が甘いからシモーネは自分を戒めない。何とかしてもらえるという考えが抜けない。

イタリアの貧困問題がベースにありながら、親子や兄弟の家族の人間関係や三角関係の恋愛模様。様々なテーマを3時間に落とし込んでいます。

ラストも複雑な気分を引きずって終わるので、何度も見れるような感じではありません。でも映画としてはかなりの完成度。一見の価値アリです。
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