スギノイチ

座頭市あばれ火祭りのスギノイチのレビュー・感想・評価

座頭市あばれ火祭り(1970年製作の映画)
4.4
70年代の三隅作品らしくアクションがさらに強烈になり、『御用牙』や『子連れ狼』の因子を感じるハチャメチャアクション時代劇になっている。

例えばこういうシーンがある。
仕込杖を引き市を誘導して歩く娘。それを追う刺客達。
すれ違いざまに市に斬りかかるが、市は仕込杖の鞘だけ娘の手に残し、大木ごと一瞬で刺客達を斬って、またすぐに娘の手の中にある鞘に仕込刀を戻す。
(この間、杖を引く娘は全く気付かず)
まるで『ルパン三世』の石川五ェ門。
かなり漫画的インパクトのあるシーンだ。

また、『兵隊やくざ』でもおなじみ、風呂場での斬り合い大乱闘シーンも楽しい。
完全に全裸だが、桶や手足等、様々な物体を画面前に配置してうまく股間を隠している。どんなに暴れまわっても決して見えそうで見えない。
アニメ『うる星やつら』の『マル秘作戦・女湯をのぞけ!』みたいなコミカルなシーンだが、かなり考え抜かれた殺陣だ。
片手の手の平だけでクルクルと刀を回転させて握り替えを(何気なく)する勝新は凄過ぎ。

タイトルの『あばれ火祭り』はクライマックスの座頭市討伐作戦を表した物だが、かなり大がかりな作戦だ。
SASUKEのセットみたいな敷地の中で、座頭市が火炎地獄に襲われる派手なアクションだ。
さらに今回の敵は、森雅之演じる「闇公方」というシリーズ最大の大悪人。
大名並みの権力を持ち、闇の世界を牛耳る盲目の悪党だ。
ある意味「座頭市 対 不知火検校」ともいえる。

良くも悪くも大映時代より派手で大味だが、こんなに楽しい映画は無い。
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