〝私は死ねないの?存在しないから〟
ロサンゼルスはダウンタウンに小汚いボロボロの安ホテル〝ミリオンダラー・ホテル〟に住み着く、社会から拒絶し貧しく可笑しな住人たち。
そのホテルの屋上で住人のひとりが転落死した事件を中心に物語が展開していくが、これは犯人探しの事件もの映画と言う訳ではない。
転落死した親友で同じホテル内の住人のひとり、知的障害の青年〝トムトム〟の物語。
〝トムトム〟が純粋が故に悲しくも切ない行動をとる姿が、最初はイラッとするものの徐々に〝自由に生きる〟ってこんな事なのかもしれないと思ってしまう。
死ねば全てが終わり楽になるのか…そう考える人も実際にいるだろう。
自分が存在している意味がないと感じ、誰にも存在を認められず無意味な人生に終止符を打ちたい。
しかし1番辛いのは死にたくても死ねないことだ。
存在すらしていない自分を自らの手で殺めることすらできない人生は、簡単な言葉で片付けられないが生き地獄かもしれない。
自分の存在を確固たるものにする1つの鍵は、やはり自分以外の〝誰か〟なのかもしれない。
〝ココロが眠った美女は目覚めのキスを待っている〟
きっとあの人は誰かを待っている・求めいている…そんなセリフが乾いたココロに潤いを与えたような気がしてならない..★,