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天使の入江のMovingMoviesのレビュー・感想・評価

天使の入江(1963年製作の映画)
4.0
【賭けのための賭け】
ルーレットのシーンが続く。一瞬で、大金は手に入り、同じように消えていく。勝っても負けても、もはやあまり大差はない。金のためではなく、賭けるために賭けているようだ。賭けとしての純度があがっている。
賭けているときだけが生きているとき。生きている実感のあるそれはたぶん幸せなことなのだろうけど、刺激の強いその瞬間以外は無と化していく。
ルーレットのシーンが続くのは、彼女にはそれ以外の時間に意味がないことの現れなのかもしれない。
オープニングが印象的だ。焦点をジャンヌモローの顔にあててから、視野が大きくひろがる。視点は真直ぐな海岸線を疾走し、彼女は小さくなっていく。
このオープニングは二人の過去なのか、未来なのか、それも賭けの勝敗のように、どちらでももうあまり変わらないのかもしれません。