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エル プラネタのMovingMoviesのレビュー・感想・評価

エル プラネタ(2021年製作の映画)
4.0
【ミランダ・ジュライ 足す 愛情 引く ユーモア】
 ミランダ・ジュライの『さよなら、私のロンリー』という残念な邦題の、とても素敵な映画がある。母親にひと言「ハニー」とやさしい言葉をかけてほしい娘とそのように接することのできない母親の話し。
 本作『エル プラネタ』は自立の機会をもちつつある娘と生活力のない母親の話し。互いに愛情を持っているように見える。傍目には生活が行き詰っている二人が切迫感もみせずクッキーを食べて過ごすシーンは象徴的だ。
映画的にはアマリア・ウルマンのシーンのつなぎ方はちょっと面白くて、ゴダールの暴力的なジャンプカットとはむしろ真逆で、時間がたっているかのようなシーンが、実際にはあまり劇中の時間が経過していない。次の日の朝のように見えるシーンがまだ5分後くらいだったというような。
感傷的にならず、セリフで語らないところもいいなと思います。