あしからず

怒りの日のあしからずのレビュー・感想・評価

怒りの日(1943年製作の映画)
4.4
いやもう林檎を食べたイブのように禁断の恋に手を出しちゃう若妻の背徳と、ミソジニーを過大に含む魔女狩りをかけ合わせるドライヤーおそるべし。
歳の差親子ほどの夫といかつい義母と暮らす暗い家(格子の多さ=牢?)と、好きな人と逢瀬をかさねる外の瑞々しさに妻の心理が投影されていた。
リベスト・モーヴィンの挑発的な目に魔がみえてゾクっとしたけどそれって完全に自分の内から来るもので、たぶんこれドライヤーに試されてる。
恋をするにつれ装飾的になっていく襟と顔を強調する黒い服。ラストの白服と黒服も示唆的。
老婆の断末魔と言霊に殺される司祭には同情する術もないが、若妻の言霊はなかなか容赦ないな。
宗教的かつ寓話的で影の使い方など美しい映像表現と煮え滾った鍋のような内容のコントラストさすがだった。
あしからず

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