ホープセンターと呼ばれる研究所でガスが漏れる事故が発生。ガスを吸った研究員は次々ゾンビと化す。TV局クルーのリサとマックスは、取材に訪れるも襲われ、特殊部隊に救援されるが…というストーリー。
パクリ癖で有名なヴィンセント・ドーンことブルーノ・マッティ監督による、悪名高くカルト映画化したパッチワークゾンビ映画です。4Kリマスターの「超・特別版」BDで鑑賞しましたが、登録はこちらでしたのでこちらにレビュー投稿したいと思います。
リサとマックスは特殊部隊と同行してニューギニアを訪れる。現地ではガスの影響で原住民がゾンビ化していた。一人、また一人と餌食になる隊員達。彼らの任務は、事の発端となったホープセンターに行き、全ての証拠を隠蔽することだった。一行は施設へ到着するが、という内容です。
80年代に量産された「ゾンビ」のエピゴーネンの一つではあるんですが、そのパクりぶりは他作品の追随を許さない徹底したものですね。主要人物がSWAT隊員とTVクルーの男女、青塗りゾンビにゴブリンのサウンドを流用したBGMを使っており、全編にわたってニセモノ感漂ってます。更に井出明のモンド映画「残酷人喰大陸」からもフッテージ流用してるので、一行が途中で立ち寄り、ヒロインが原住民衣装で交流する村のシーン等は、本物の死体映像出たり、その死体に沸いた蛆食ったりとここからの映像多めです。後、動物の資料映像も結構頻繁に挿入されるので自分が見てるのがゾンビ映画なのかナショナルジオグラフィックのネイチャードキュメンタリーかわからなくなりそうになるかも(そんな事はない)
ただ、ロメロの様なメッセージ性などは微塵もなく、登場人物が次から次へとゾンビの餌食になって死んでいくだけの絶望的で救いのないストーリーとなっています。立ち寄った部族の村が原住民ゾンビに襲われるシーンは、ちょっとだけ「ゾンビ大陸アフリカン」を彷彿しました。まさかとは思うけど、ちょっとだけ影響与えたりしてないのかな?基本、籠城する事無くジープでジャングルを進んでいくロードムービー調の展開です。
登場するゾンビはノロノロゾンビで、前述したように「ゾンビ」を意識しまくった青塗りメイクが基本で、傷口つけたりすこし爛れさせたりしたものです。SWATの一人サントロを相手にするときは、ただでさえノロノロなゾンビがさらにスローになります。ここはスロー過ぎて笑っちゃいました。お食事シーンは肩や足、首の肉を喰いちぎったり、内蔵引きずり出したりとふんだんに盛り込まれてます。ライフルによるゾンビの頭部着弾もしっかり見せてくれます。
主要登場人物のSWAT隊員たちも、こんな任務なのに4人しか派遣されてないし、夜の見張り中にヒロイン口説いてて隊長に見つかって殴り飛ばされる隊員や、探索中の家で見つけたバレエ服?みたいなの着てシルクハット被ってステッキ持って踊ってたらゾンビに食われるやつ等バカが多い印象。その中でも一際目立ってるのがサントロですね。ヘラヘラしてエキセントリックな感じだけど、いち早くゾンビの弱点が頭部だと見抜いたり、ゾンビの群れを相手にしても臆さずにその只中に飛び込んで引き付けたりと対ゾンビにおいては有能で勇敢です。ゾンビの胴体ばかり撃つ他の隊員たちに「頭が弱点だと言ってるだろ!弾の無駄だ!」と叫ぶシーンは本当その通りと思いました。後、ロンドン隊長とヴィンセント顔似すぎでしょ。ヒロインのリサは美人だけど絶叫顔が結構インパクトあります。後惜しげもなく晒すヌードが結構美乳。その後も上半身裸でふんどし一丁のスタイルで原住民と交流するけど、ドラえもんみたいなフェイスペイントしてるのであそこは色気感じなかったな。カメラマンマックスもゾンビ達が現れたら、「こんなチャンスは滅多にない!」みたいな事言ってわざわざ近寄ってカメラ回したり結構バカ。
終盤、ホープセンターで明かされる事の元凶はSFっぽい味が悪くないですが、人口増加よりゾンビ蔓延の方が遥かに大問題だと思うけど。
そして語り草となっている惨すぎるヒロインの最期は改めてみてもインパクト抜群ですね。ここまで酷い死に方するヒロインも珍しいんじゃなかろうか。でも、脚本担当したクラウディオ・フラガッソが監督した「ゾンビ4」も同じようなラストでしたね。ここでスパっと終わりかと思いきや、特に意味のないゾンビ現象拡大をダラダラ描いて蛇足気味に終わりましたね。クラウディオ・フラガッソはそこちょっと反省して「ゾンビ4」はスパッとした感じで終わらせたんだろうか。
「超・特別版」BDでは洋画劇場風の新録の日本語吹き替えついてますが、谷昌樹さんに白石涼子さん、多田野曜平さんに小松史法さんと豪華キャストで驚きます。特にサントロ役のベテラン大塚明夫さんはハマリ役。
どちらかというと駄作の部類に入るゾンビ映画ですが、何故かもう一度見たくなる引き付けられる中毒性のあるゾンビ映画ですね。