垂直落下式サミング

グリズリー・パークの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

グリズリー・パーク(2008年製作の映画)
3.0
エリシャはそこからベテルに上った。彼が道を上って行くと、町から小さい子供たちが出て来て彼を嘲り、「はげ頭、上って行け。はげ頭、上って行け」と言った。
エリシャが振り向いてにらみつけ、主の名によって彼らを呪うと、森の中から二頭の熊が現れ、子供たちのうちの四十二人を引き裂いた。

【旧約聖書 列王記下 2章23~24節】


子供にバカにされたくらいで呪いを発動してしまうエリシャってば、マジ預言者って感じ。牧師泣かせな聖書の一節は、つまり何が言いたいかというと、大人を舐めたクソガキは熊に食われるということ。それ以上も以下もない。
一丁前に聖書を引用して、オープニングに凝ったアニメーションが挿入されるもんだから、ちょっと期待してしまったが、まあ見事にポンコツ映画。序盤の驚異的な盛り上がらなさは、確かに呪われている。
社会奉仕活動として山のゴミ拾いに集められた若い非行者たち。引率するのはベテラン山岳警備隊のボブ隊員。この程度の映画なのに、登場人物が出揃うまで20分もかかるのが、もうキツい。なんか適当にマッチョと、高飛車女、不良娘、バカ、あと死ぬ要因の黒人とアジア系、この程度のありきたりなキャラクター紹介に手間取るんじゃないよ。いちいち名前の綴りを間違えるギャグとかも、貧乏ゆすりを誘発させる要因でしかない。
自然公園のイケメン管理人、凶悪な強姦殺人の逃亡犯、不良どもの愉快な仲間たち、こいつらが後から物語に関わってくるのかと思ってみていると、ビックリするくらいすぐ死ぬか、もう出てこない。
あっ、これ絶対つまんないぞと、冷静な思考で名推理するゴールデンウィーク。途中からヤバそうだなと気付いても心穏やかでいるには、時間に余裕がないとだ。
でも、川での水浴びや下着女子部屋トークなどサービス精神は旺盛だし、残酷シーンは本気度高め。怒りクマパンチは胴を切断し、上顎と下顎は泣き別れ、ぶち抜かれる豊胸シリコンパッドが宙を舞う。
最後の適当などんでん返しも、ラストまで視聴を続けた人へのお土産と思えば、まあ許せる。いい悪いじゃなくて、俺は許すってこと。みなまで言わせるな。
こちらに忖度を働かせるよう、瞳を潤ませながら訴えてくる低予算らしい可愛らしさに救われた。
あと、主題歌「森のくまさん」は、もとのアメリカ民謡のほうは日本語の歌詞とはぜんぜん違って驚いた。お嬢さんが落とした白い貝殻の真っ赤なイヤリングは届けに来ない。だからどうしたという話でした。