パラノイアな心理描写に逃げずに、古典的なサスペンスを積み重ねていく手腕は流石デミ。クエートでの回想シーンのが良い。しっかり怖い。
洗脳部屋もそうだけど、リーヴ・シュレイダーが部屋のクローゼットを開けるとその先に謎の手術室があるとか、ジェフリー・ライトの部屋とかをこれ見よがしではなくさらっとやってる不気味さ。
例えば冒頭の講演会のシーンで、ジェフリー・ライトがデンゼルに質問を投げかけるのだが、そこではライトの顔によらないどころか引きの画の隅っこにぽつんといるだけなのが不穏で良い。役者も良かった、メリル・ストリープでさえ良かった。ショットの強さではなく、的確な描写の連鎖による良作。