ろくすそるす

ドリラー・キラーのろくすそるすのネタバレレビュー・内容・結末

ドリラー・キラー(1979年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

 『バッド・ルーテナント』、『天使の復讐』などの傑作多き鬼才アベル・フェラーラーの初期の作品ではあるが、なんともぶっとんでいる。いや、ぶっとんでいるどころか、余りに雑な作りなのだけれども。
 猟期犯罪とガレージ・ロック、二人の浪費的でイカした女と暮らす、へんてこなバッファローの絵を描く売れない狂気の画家青年が、音がうるせえ、と近所のロックバンドに八つ当たりしだし、工具であるドリルを凶器にして、殺人を繰り返す。殺人衝動は私怨以外にも、路上の酔っぱらいにも振る舞われる。んな馬鹿な。
 ガーベージの中から出てきた怪作というにふさわしく、回収しない伏線(冒頭の爺が父親でなぜかレノの住所を知っている、逃げられた恋人の彼氏の家をどうやって突き止めたのか)があまりに多く、突っ込みどころ満載。どサイケな演出も、相当唐突。
 だが、しかし、大音量で観るガーベージ映画としては、すごく心地よい。例えば、本作をポルノとB級ホラーのかかる深夜のくたびれたグラインド・ハウスで、バドワイザーのビール瓶片手に、脳味噌空っぽにして、ダメ人間の社会的逸脱を見物する。本来この映画はそういった環境で観るべきものなのかもしれない。