投身自殺をした女が住んでいた部屋を借りた男(ポランスキー自身が演じている)が徐々に精神破綻をして行く。
ジワジワと少しずつ崩れて行く男がゾッとする。
ハッキリとした理由は判らないが、周囲が「そっちへ行け、そうだソッチの方向だ」と彼を導いて追い込んで行くように見える。実際には彼がそう感じているだけなのだが。
そうなってもおかしくないという不思議な気持ちにさせられる何かがポランスキー自身にはある。
彼の作品や過去に起こした事件からそうした感じを私は受けてしまう。普段の彼の心の中には本作のような自己破滅的世界が展開されていてもおかしくないのではないか?と感じてしまう。芸術家気質と言ってしまったら短絡で怒られるだろうか。
ポランスキー自身が主演していること自体が作品に深みを与えている作品。
投身自殺をした女の友達(イザベル・アジャーニ)と男が一緒に映画を観に行くシーンがありますが、スクリーンに掛かっていた映画がブルース・リー主演の作品なのには思わずニヤリとしてしまいます。シャロン・テートが殺されたのが1969年で本作は1976年の製作です。