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ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生のKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

#奇妙なホラー映画論 マラソン!
ゾンビ映画の原点。ストーリーは、とある田舎町の一軒家を中心に展開される。この家に逃げ込んだ老若男女7人のドラマが主軸だ。非常にシンプルかつ古典的なシチュエーションにも関わらず、ロメロは極上のサスペンスを作ることに成功した[1]。ゾンビと相対するシーンでは基本的に登場人物は言葉を発さず、緊迫した音楽と映像だけがその状況を象徴している。救いのないエンディングも相まって、極限状態における暴力や人間の非情さを考えてしまう作品だ。

低予算で撮影する必要があったために、1960年代はカラー撮影が主流であったが、ロメロはコスト削減のために35mmモノクロフィルムで撮影したそう。また、血液にボスコのチョコレートシロップを使ったり、ゾンビの傷口に死化粧師の蝋を使用していたが、モノクロによって安価な特殊効果も隠せたそうです[2]。

ゾンビ発生の原因が、原因不明の病原菌やバイオハザードではなく、金星探査機の爆破による放射性物質の拡散というのがまた時代を感じさせる。今となっては「いや放射線でそうはならんやろ」とツッコめますが、当時はまだまだ未知のものだったんでしょうね。

この後、『サンゲリア』と『サスペリア』が待ち構えているのでやや憂鬱ですが、少なくとも『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』はそこまでグロくないのでゾンビ初心者でも観やすい、、はず。


参照
[1] Kevin Thomas, “‘Living Dead’ and ‘Dr. Who’ Citywide”, The Los Angeles Times, 10 Jan 1969, Fri, P73, https://www.newspapers.com/clip/84970483/night-of-the-living-deaddr-who-and/
[2] Brian Eggert, “Night of the Living Dead”, October 27, 2008, https://deepfocusreview.com/definitives/night-of-the-living-dead/
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