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国家の女リトルローズのtheocatsのレビュー・感想・評価

国家の女リトルローズ(2010年製作の映画)
4.0
50年以上前のポーランド、言論弾圧の悲哀劇

最初はなぜポーランドにおいてユダヤ人がシオニスト呼ばわりされ忌み嫌われるのかぴんと来なかった。
当時勃発していたユダヤ・アラブ戦争で共産圏が支援するアラブ側とシオニストユダヤが敵対しているからということなのか、実は最後まで明確に把握できなかったので視聴後に調べてみたい。

それはともかく、当時のポーランドは共産党独裁の社会主義国家。反国家的と見なされる活動は厳しく取り締まられる。そのため数多のスパイが〝国家の犬”として市井に放たれていた・・・

そういった状況下においてある共産党員、その恋人、反国家的活動シオニストの疑いがかかる大学教授。の三人による色恋と謀略絡みの三角関係が本作の主軸となりストーリーが展開。
しかもややこしいのはその共産党員までもがユダヤ人ではないかと疑いをかけられているという状態にあること。
つまりユダヤ人(?)の共産党員が自分の恋人をユダヤ人シオニストの疑いがある大学教授に色仕掛けで地下活動を探らせるという図式。

上層部から強い圧力をかけられている共産党員の焦り、そのプレッシャーをもろに受ける恋人の苦悩は痛いほどよく伝わってきた。当時はそうするしかなかったんだろうなぁと同情もわいてくるというもの。
騙される大学教授が彼女に心奪われていく経過はちょっと唐突な印象を受けたが、そこは強く咎める場面ということもなく、国家側の思惑通り〝肉体関係”に発展し、重要な情報も彼女からもたらされることになる。

ところが厄介なことに先の共産党員がジェラシーに囚われて任務を台無しにしてしまう。並行して恋人も大学教授を愛するに至ってしまう・・・

そこから事態は重大な局面を迎えるが、以下は長くなるのでここまで。


映画の出来自体は凝った技巧的な演出もなく極めてオーソドックス、でありながら徐々に引き込まれるほど中味は充実。
どこにも逃げ場のない当時のポーランドの状況がよく伝わってきてヒリヒリさせられた。

なかなかいい映画でしたよ。

総評4.0の四つ星


本質的な事ではないがヒロインが全く自然に裸体をさらしていたのが印象的。これが邦画であれば女優側も「勝負っ!!」といったオーラをまといこちらが気恥ずかしくなることが多いのだが、その点西欧とも一味違う東欧系のヌードポルノ場面は変な言い方だけれど「安心して」見ることが出来る

002011
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