なつこ

わが谷は緑なりきのなつこのレビュー・感想・評価

わが谷は緑なりき(1941年製作の映画)
3.8
「怒りの葡萄」は農家でしたが、こちらは炭鉱の日雇労働者たちの苦しみ。
こちらの方が、色々分かりやすかった。

炭鉱というひとつの産業しかない街で、その産業が衰退していく様子が、ひとつの家庭を舞台に描かれていく。

それを語るのは一家の末っ子である少年。
家族が笑いあってしあわせだった日々から今日までを振り返る。

学校でいじめられても、親でもない周りの人たちが鍛えたり励ましたり仕返ししたりw街全体が身内のようなコミュニティ。

しかし賃金が下がり、ストがはじまり、組合ができて…持ち直したように見えても、終わっていく産業にそんな沢山の人手は不要で職にあぶれる者は増えるばかり。
1人また1人と土地を去っていく。

人の心が貧しくなれば、あたたかかったコミュニティも、敵になり悪意の塊になる。

川に落ちたあたりが、唐突で一瞬なにが起こってるのか分からなかった…モノクロだから?💦
その事故で歩けなくなった主人公を励まし続ける牧師さんとの交流は胸にきましたね。
人の心を支えるのはやっぱり希望。

とても哀しい話だったけど、観てよかった。
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