わが谷は緑なりきの作品情報・感想・評価

「わが谷は緑なりき」に投稿された感想・評価

亘

亘の感想・評価

4.3
19世紀末ウェールズ。初老の男性ヒュー・モーガンが寂れた谷あいの町ロンダを出ようとする。彼は50年暮らした炭鉱町を出るにあたり回想する。かつて谷は緑で人々でにぎわい彼は家族や地域の人々に支えられのどかに暮らしていた。

ヒューの回想と共にかつての炭鉱町の賑わいや人々の心情の変化を描いた作品。白黒で物語の起伏は乏しいし時系列一ほぼ直線で構造もクラシカル。なのになぜか入り込めてしまう不思議な作品。きっとこの魅力は、故郷への愛とか心の持ちようとか普遍的な内容を扱っているからかもしれない。

ヒューは7人兄弟の末っ子で父と兄たちは皆炭鉱で働き、同じく炭鉱で働く町の人々は炭鉱で働くことを誇りにしている。この町ではヒューがほぼ最年少で、一時寝たきりになったからベッドから町の人々をよく観察している。小学校に行って外の世界と交流したのも彼だけで、より中立的な立場から町を見ていたように思う。そして兄弟たちが次々谷を離れるなかでも彼は残り続けた。彼は谷の盛衰を誰よりも目にしてきたのだ。

今作の1番の主題は"心の持ち方"だと思う。牧師の言葉「磨かないとランプも輝きを失う。心を磨くんだ」が印象的。作品中でいえば[ランプの曇り:人々に広まる悪意、炭鉱から出るぼた、荒れた町]、[磨かれたランプ:人々の優しさ・寛容さ、緑の谷、活気ある町]に対応していたと思う。人々の心が悪意に染まり始めると谷はぼたで汚れはじめたり町の活気が失われる。するとさらに人々の心が荒んでしまう。でも誰かがそれを正すと谷に緑が戻り町は賑わいを戻す。今作では何度も誰かが悪意を正した。ストライキのときはヒューの母、ヒューへのいじめ・しつけには炭鉱の男が立ち上がった。一つの悪意が伝染して環境が鬱屈とした雰囲気になるというのは普遍的な真理なのかなと感じた。

そしてもう一つの主題は"故郷への愛"だろう。冒頭映るロンダの町は寂れ、ぼたで汚れている。もしかしたらアンハードと牧師の事件で、心を正す人がおらず人々の心が悪意に染まり続けたのかもしれない。ヒューが町を出るにあたって緑の谷を思い出すのは、きっとロンダの町がまたかつてのように戻ってほしいからだろう。兄たちが次々町を離れる中で街に残り続け、学校を出ても町の炭鉱で働き続けた。兄たちのように外国に行ったり学校を出て大学に行ったりすればもっと豊かになれたのにヒューは町に残った。50年たって町を出るのはきっと不本意だろう。町は寂れて汚れて変わり果てたが、ヒューの磨かれた心の中では谷は緑であり続けている。丘で離れ離れになったはずの家族が集まる空想シーンもまた、かつてのように緑の谷で暮したいという思いの表れだろう。観終わって『わが谷は緑なりき』という題名の深さを感じた。

印象に残ったシーン:冒頭ヒューが荷造りをするシーン。牧師が『宝島』をヒューにあげるシーン。兄たちが次々と町を去るシーン。牧師と丘で話をするシーン。牧師が最後の説教をするシーン。丘で家族が集まるラストシーン。

印象に残ったセリフ:「磨かないとランプも輝きを失う。心を磨くんだ」

余談
・舞台となった19世紀末には、炭鉱夫など多くのウェールズ人がアメリカなどに移住しました。ウェールズの血を引くアメリカ人としては、マイケル・ダグラスやヒラリー・クリントン、ブッシュ元大統領、ジャック・ダニエル(あのウイスキーメーカーの創業者)などがいます。
・監督はウェールズで撮影したかったようですが、第2次世界大戦で難しかったためセットで撮影したそうです。
・俳優陣にはウェールズ人が1人だけいました。ダイという名前のボクサー炭鉱夫です。
犬

犬の感想・評価

3.8
体洗い

ロンダの谷で暮らす炭鉱夫のモーガン一家、そして牧師の物語

第14回アカデミー賞では、作品賞をはじめ5部門を受賞したドラマ

これはカラーで観たい!

家族、そして自然ってイイなと思えた

ナレーションというか回顧が文学的でスゴく良い
音楽や雰囲気も

ただ、炭鉱は危険と隣り合わせ

宗教的要素もあり

のちに「猿の惑星」でコーネリアスを演じるロディ・マクドウォールが可愛かった

先生w
新田畳

新田畳の感想・評価

4.2
1870年代のイギリス、ウェールズが舞台。

その他の米映画にも見受けられる、この時代の「やったらやり返せ」「喧嘩をするなら勝て」みたいな文化がとにかく苦手でそういうシーンには正直あまり共感はできませんでした。
しかしながら、明日どうなるか分からない貧しさと隣り合わせの状況下で強かに生き抜くために、それらは自然と生まれてきた考え方なのだろうな、と鑑賞中に妙に納得してしまいました。

そういう見方をしていたせいか、皆が粗野で陰湿である理由になんとなく切なくなってしまい、
「あんたの時代にはああいう連中がいなくなるといいよ」
という、息子にかけた母親の一言が非常に印象に残りました。

映画自体も非常に美しい作品ですが、モーリン・オハラの美しさには特に驚かされます。

このレビューはネタバレを含みます

アカデミー作品賞など受賞の名画。
1984年9月28日、鑑賞。

ある炭鉱町で暮らす家族を描いたドラマ。家族のつながりが大切ということを伝えてくれる名作。

ある家族には辛いことが起こるが「みんなで乗り越えよう」という強い意志が感じられる。

最後に父親が死んでしまうが、「その後もきっとみんなで乗り越えて行くんだろうな」と思わせてくれる希望の映画。

邦題は、最後のセリフからつけられたものであった。
ジョン・フォードの傑作。
ろ

ろの感想・評価

4.8

「磨かないとランプも輝きを失う。心を磨くんだ」

ジョンフォード監督の映画は「駅馬車」も「怒りの葡萄」も見どころが多くて、レビューをまとめるのがすごく難しかったけれど、今回も盛りだくさん!「風と共に去りぬ」と同じぐらい、「今日は映画観たなぁ~~!」って気持ちになります。


主人公が子どもの頃を振り返るところから、物語は始まる。

緑豊かな谷に生まれ育った主人公ヒュー。
両親と5人の兄、姉のアンハード(モーリンオハラ)とともに暮らしていた。父と兄は炭鉱で働き、家族そろって食卓を囲む。慎ましく幸せな生活を送っていた。
そんなある日、炭鉱が賃下げをする。

明るい歌声で溢れていた谷は、空腹と絶望に満たされる。

ストを起こそうとする労働者と対立するヒューの父。
そんな父の代わりに集会に行ったヒューと母は、労働者たちに向かって演説。しかしその帰り道、真冬の川に転落してしまう。
運よく命は助かったものの、足が動かなくなってしまう。

医者に「もう歩けなくなるかもしれない」と言われ、落ち込むヒュー。そんな彼を励ますのが若い牧師グリュフィード。「神様も心変わりするかもしれないよ」そう言って「宝島」をプレゼントしてくれる。
もうこの場面、本当に本当に美しいの。元気がなかったヒューの顔が一気に明るくなって、瞳がキラキラと輝いて。心がじんわり温かくなって、気付いたらめちゃくちゃ泣いていた(笑)
「お早よう」のラスト、ナショナルテレビの箱が映るカットぐらい好きなシーン。

お母さんとヒュー、2人の看病をするうちに離れかけていた家族の気持ちが一つに…。


ヒューの初登校、叶わない恋と望まぬ結婚、突然の兄の死、新たな命の誕生、そして無責任な陰口。

ありもしないウワサが谷全体に広がり、ヒューたち一家は隣人から白い目で見られる。
お母さんがヒューにかけた言葉。
「みんなの目が濁っているのよ。そういう人たちはお前の時代にはいなくなればいい」
ああ、本当にその通りだ。でもきっとこれから先もなくならない。
そう思うと、悲しいんだかなんだか分からない気持ちになって、またまた泣いてしまいました。


世の無情と同時に、人の温かみに触れる映画。


「父のような男に死という言葉はない。今も記憶に生き続け、愛を教えてくれる。わが谷は緑だった」
kazu1961

kazu1961の感想・評価

4.2
「わが谷は緑なりきり」
原題「How Green Was My Valley」
1950/12/29 公開 アメリカ作品 2017-216
アカデミー賞作品賞再鑑賞シリーズ
1942年第14回 アカデミー賞作品賞

モノクロ作品の良さを感じる優しい作品ですね。モノクロならでは、邦題からイメージする美しい緑や花の色、白い雲と蒼い空などが頭の中で広がっていきます。とりわけ主人公が回想する緑のイメージが強く印象に残ります。
西部劇で有名なジョン・フォード監督が本作で描こうとしているのは善意と誠実さを貫いて生きる人間の姿と魂でなんですよね。
子役、音楽、恋愛、ユーモアのどれをとっても秀逸で、目を閉じると景色が甦って来る全編にわたる圧倒的な映像美と人間に対する溢れんばかりの愛情表現が素晴らしい作品です。
ラストのヒューの「Daーda! 」、感動です!

ジョン・フォード監督作品。第14回アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、助演男優賞(ドナルド・クリスプ)、撮影賞(白黒部門。アーサー・ミラー)、美術賞(リチャード・デイ、ネイサン・ジュラン)、室内装置賞(トーマス・リトル)を受賞した。ウォルター・ピジョン、モーリン・オハラ、ドナルド・クリスプ、アンナ・リー、ロディ・マクドウォール、ジョン・ローダー、バリー・フィッツジェラルド、アーサー・シールズ等が出演している。
KICCO

KICCOの感想・評価

5.0
人間のありのまますぎて。
牧師好き……
ヒューの純粋というか真面目なのか、真っ直ぐな心に胸を打たれる。
朝から泣いた。
こ

この感想・評価

3.3
結婚式のシーンで
階段の両脇に手繋いでならんでたのかわいかった。
イギリスの田舎の炭鉱夫たち

名作なのは本当にわかるけど、それでも悲しすぎた...
自分も生まれ故郷がこういう所だったから、なんだか主人公の気持ちが少しわかる

あと色々なエピソードにおいて昭和の日本みたいな価値観だったのがビビる



「食べる人がいないから、もうケーキは作っていないのよ」
だりあ

だりあの感想・評価

4.0
炭鉱夫たちの歌がとくに綺麗で
記憶に残っている。
家族の物語、という視点で観れば日本で
言う小津作品に近いものがあるかも
しれない。

牧師さんの「陰口をたたくのは貧しい
心の現れ」という言葉、胸に刻みたい。
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