一人旅

大いなる眠りの一人旅のレビュー・感想・評価

大いなる眠り(1978年製作の映画)
2.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
マイケル・ウィナー監督作。

富豪の娘の脅迫者を調査する中、やがて複数の殺人事件に巻き込まれてゆく私立探偵フィリップ・マーロウの姿を描いたミステリー。

アメリカのハードボイルド作家、レイモンド・チャンドラーの処女長編「大いなる眠り」の映画化作品で、ロサンゼルスから1970年代のイギリスに物語の舞台を移している。ちなみに、同小説はハンフリー・ボガート主演の『三つ数えろ』(1946)でも映画化されている。

退役軍人で富豪のスターンウッド将軍の邸宅を訪れたアメリカ人私立探偵フィリップ・マーロウ。将軍の長女シャーロットが何者かによって脅迫されていると聞かされたフィリップは、その犯人を突き止めるべく単独で調査を開始する。やがてフィリップはシャーロットを脅迫していたと思われる本屋経営の男ガイガーに辿り着くが、何者かによってガイガーは消されてしまう…という探偵ミステリー物で、多数の登場人物+状況の説明不足のせいで非常に分かりづらい作劇になっている。チャンドラーの複雑なハードボイルド・ミステリー小説を上映時間わずか90分そこらで綺麗にまとめ上げること自体に無理があり、これは同じくロバート・ミッチャムがフィリップ・マーロウを演じた『さらば愛しき女よ』(1975)にも同じことが言える。

ポルノ写真を撮影される将軍の次女カミラ、暗黒街の大物で賭博場経営者マース、邪魔者を躊躇なく抹殺する殺し屋二コラ、シャーロットの行方不明の夫リーガンの存在など、多数の登場人物の思惑・秘密が複雑に絡み合う謎が謎を呼ぶミステリーだが、蓋を開けてみれば結末は単純であり、表面上無駄に複雑化された事態にフィリップ自身翻弄されていたという探偵泣かせなお話でもある。

主演のロバート・ミッチャムは相変わらず眠たげな表情で、『三つ数えろ』のハンフリー・ボガートとはまた違った味わい。薬物中毒の次女カミラを演じたキャンディ・クラークは狂った言動+ヘアヌードまで披露する熱演ぶり。スターンウッド将軍役は往年の名優ジェームズ・スチュワートという意外な配役。すっかりおじいちゃん俳優になっていたが、独特の喋り口調は健在。
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