批評家が挙って絶賛したマジな映画だそうだが、私としてはこういう少年少女の叛逆や暴力を肯定した作風があまり好みでなく(相米慎二の『台風クラブ』にも似てる)、まるで陰湿な邦画を観ているような感覚が不思議な既視感を抱かせた作品であった。
全体的に青臭いような、冷徹なような。腐敗したノイジーな作風がやはり最近の邦画にも通じる。主人公の少年ワレルカのどこまでも自分勝手で組織に媚びる屑っぷりには吐き気を催すが、これが監督自身の投影ってのも凄いわな〜。
最終的に女の子道連れにして死なせちゃうんだもん。笑うに笑えない話。まあ当時のスターリン政権下でもがく下流の人々の下世話でグロテスクな青春ストーリーといった感じで、観ている間はヒリヒリするけど果たして心に残るか?と言われたらそんなでもない。
同じく国家権力の腐敗を描いた『フルスタリョフ、車を!』のカオス感と比べてどうも弱い。瑞々しい映像センスはたしかに特筆ものだけど、自分の求める「青春の儚さ」とは対極にあるダーティーで鬱陶しい雰囲気があまり好みではなかった。若い人は好きなんだろうけど…。