ユウサク

アンド・ゼン・ケイム・ラブのユウサクのレビュー・感想・評価

3.0
ニューヨークの敏腕ジャーナリスト ジュリー(ヴァネッサ・ウィリアムズ)は「夫は要らないから奥さんが欲しい!」と常々思っているようなシングルマザー。ある時ジュリアは人工授精で出産した息子ジェイクのADD(注意欠陥障害)は「匿名の精子提供者」である父親の遺伝子に問題があると考え、探偵に依頼し彼の居場所をつきとめる。

↑DVD裏のあらすじをちょっと改変したもので、まあこのあらすじからするとかなり危うい話な感じがするし実際そうだった。序盤は「仕事が一番」「息子が幸せなら結婚しなくていい」とはっきり言うジュリーに「そうだそうだ!」と思えるんだけどだんだんとなんとなく「息子には”実の”父親が必要」という考え方に映画全体が偏っていって色んなことを投げっぱなしにしたまま「え、ここで終わるの?」ってタイミングで終わってしまった。何でも勝手に決める彼氏のテッドは言うまでもなく、ポールもただのその辺の男でしかないので魅力がいまいち伝わってこない。全体的に脚本も撮影も編集も音楽も拙くて本当にただのビデオスルーって感じがした。
ただこの映画、プロデューサー兼脚本のケイサ・ジェンティスが何もないところから友人を伝ってほぼ独力で作った映画らしく、メイキングではスポンサーやエキストラをどうやって集めたかとか話してて和気藹々と作った雰囲気が伝わってきてそれはそれで良かったねと思った。この作品を皮切りに今もプロデューサーやってるみたいだし。またシングルマザー協会?の人やニューヨーク・タイムズの記者が出てきて当時のキャリアがある50代女性に「後悔したことは?」と質問すると結婚しなかったことではなく子どもを持たなかったことを後悔してる人が多かったという調査結果に一応基づいているらしく、今見てダメダメなのは明らかだけど当時はそれなりに社会的意義のあるテーマだったのかなと。人工授精自体を批判するような描写はないしメイキングでヴァネッサ・ウィリアムズはこの映画があくまで宙吊りの状態で終わることを評価するようなことを言ってたから、それも「まあそう言われれば……」くらいには思えた。

ヴァネッサ・ウィリアムズ以外のキャストはアーサ・キット、ベン・ヴェトリーン、ケヴィン・ダニエルズ、スティーブン・スピネラと豪華らしく当時新人のマイク・コールターも軽薄な男の役でいた。
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