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ピンク・フロイド/ライブ・アット・ボンベイのROYのレビュー・感想・評価

4.6
VHS(PMV / Polydor 5版)で鑑賞

DVDのディレクターズ・カット版の評判が悪いのでVHSを買った。伊藤政則さんによる解説書も付いていた。『The Wall』と『London 66-67』も買っちゃいました。

自然と調和し、その自然を超越するエネルギーを操りながら、彼らは古代との対話を実践するのである。

彼らは大地に祈り、宇宙のリズムを呼び込む。ライブ・パフォーマンスは儀式となり、意識は時空を越える。

「確かに機材は重要だ。しかし、それをいかにコントロールするかが大切だ。機械に操られちゃいけない」

■INTRODUCTION
72年10月にイタリアのポンペイ古代遺跡の円形演技場で行われたライブに加え、ロンドンのアビーロード・スタジオでのレコーディング風景を撮影したドキュメンタリーを収録。単なるライヴフィルムには終わらない、フロイドの“完璧”を追求した会心作。

■NOTES
ポンペイ:イタリア南部、ナポリ近くにあった古代都市。紀元前4世紀以来繁栄したが、79年のベズビオ火山の大噴火で埋没。1748年からの発掘によって、城壁・神殿・円形劇場・壁画などが発見され、ギリシャの影響が強い都市のようすが明らかにされた。同じく噴火により埋没した近郊のエルコラーノとトッレアヌンツィアータとともに、1997年、世界遺産(文化遺産)に登録された。

↑『デジタル大辞泉』より

エイドリアン・メイベンは、「ウッドストック・フェスティバル」のような大観衆のいる大規模なコンサートとは全く逆の状態でのコンサートを具現化したかったと述べている。

曲間にはアビーロード・スタジオで録音中だった『狂気』の制作風景が挿入されている。そこでは、ウォーターズが「VCS3シンセサイザー」を操作したり、ギルモアのギターのオーヴァ・タブを行う貴重な収録風景なども収められている。メンバーの食事シーンが面白かった。

「吹けよ風、呼べよ嵐」の演奏シーンでは、ニック・メイスンがドラムを激しく叩くあまり、スティックを勢い余って投げてしまうシーンが確認できる。

LD、VHSに関しては、1972年後半の『狂気』の収録風景やバンドメンバーに対するインタビュー(但しリック・ライトへのインタビューはない)も挿入されている。DVDは「ディレクターズ・カット」と称してオリジナルバージョンに大幅に編集が施されている。但し、1972年初公開時のバージョンも収録されており、映像作品として初めて1972年に公開された「オリジナル」を見ることが出来るようになった。

■THOUGHTS
みんなカッコいいが、ニック・メイスンのドラムプレイに惹かれた。冒頭、「Echoes (Part I)」が流れて、徐々にカメラがニックに寄っていくシーンも良かった。

「神秘」の演奏シーンが好き。砂の上に座りこんだりして、自然に溶け込んでいる。ピアノの上にも砂の跡付いてるし。一方、ウォーターズは太陽に溶け込んでいる。

インシュレーターの代用として楽器箱をアンプ下に敷いていた。

夜にさしかかったあたりに演奏される「吹けよ風、呼べよ風」がカッコいい。ブッチャーが遺跡の入り口から登場したら面白いかも。円形闘技場だしね。

ギルモア、自分のギターで呼んだ風で、髪が顔に覆いかぶさる。

「太陽讃歌」の演奏シーンを見ていて、後ろにいた母親が一言。「なんか怖い。おまじない的な」

トラック撮影がいい味出してる

「マドモアゼル・ノブス」のMVPは犬だな

ラストはイントロと反対に、カメラがプッシュアウトしていく。

@亡霊たちの場所
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