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眠狂四郎 円月斬りのトシオ88のレビュー・感想・評価

眠狂四郎 円月斬り(1964年製作の映画)
3.7
眠狂四郎シリーズ第3作。将軍家斉の次の座を狙う残忍なその嫡子片桐高之と狂四郎の死闘を描く。
大映の華たる著名な女優は出演していないが、作品を通じて一貫して流れる暗い空気感が、得体の知れない緊張感を産む。当時パワーのあった大映美術陣の描く、落ちかけた橋、江戸の市井の描写、美しい着物…。現代のビデオでは捉えることの出来ない大映カラーのフィルムと合わさって、雷蔵による唯一無二の狂四郎の世界が展開する。

本作はそれに加えて、娯楽派安田監督が積極的に、殺陣での血飛沫や妖刀政宗に斬られる四肢を描き、また妖艶な濡れ場を婉曲的に演出することで、より猟奇的刹那的なムードが充満しており、当時の観客達の映画館での淫靡な興奮が伝わってくる。

クライマックスは片桐の軍団との一騎打ちに雪崩れ込むが、そのカタルシスは、やはり観ていて高揚する。そして最後に登場する幕府の隠密🥷たちとの自嘲的な狂四郎の会話は、柴練の原作を忠実に再現しており、ニヒリズムに満ちていて格好いい。
やはり眠狂四郎は雷蔵に限るなぁと再確認致しました😃🎬
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