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雨にぬれた舗道のtorumanのレビュー・感想・評価

雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)
4.0
ロバート・アルトマン監督「女性映画3部作」の1作目です。

30代の独身女性フランセスは、公園のベンチでずぶ濡れの青年を見つける。
その青年を自宅に連れ帰り、風呂に入れて食事を与えるが、青年は何もしゃべらない。
だんだんと青年に惹かれていくフランセスは…

フランセスは30代にしては裕福な生活。
日々、お付き合いしている方々は、彼女の親のような年齢層。
生活の中に若い人は全く入り込んでいない模様。
無為に時を過ごしてる彼女はいつも無表情。

しかし、公園から"拾ってきた"青年が、彼女の生活に波紋を起こします。
二転三転する2人の関係性。
少しづつ日常に染み込んでいく狂気。
先の見えない展開から、茫然自失する結末。

私は前回観た『イメージズ』よりこちらの方が怖かったです。

鏡越しにしゃべる登場人物
ガラスブロック越しから見る歪んだフランセスの顔
『イメージズ』にも繋がっていく神経症のような映像イメージが、この1作目で既に花開いています。

永遠に終わりが来ないような悪夢感も『イメージズ』と同じ感覚を呼び覚まします。

フランシス役に『バージニア・ウルフなんかこわくない』('66)でオスカーを受賞したサンディ・デニス。
精神的に不安定で繊細なお嬢さまのような役を見事に演じています。

今まで知る事の無かったアルトマン監督の一面を存分に味わえました。
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