福福吉吉

渇きの福福吉吉のレビュー・感想・評価

渇き(2009年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
敬虔な神父であるサンヒョンは自身の無力さを痛感し、「人助けがしたい」という思いから、感染した者が全て亡くなっているウィルスのワクチン開発の被験者となった。サンヒョンはウィルスに感染するが生き残ることに成功する。しかし、サンヒョンの肉体は他人の生き血を必要とする吸血鬼となってしまう。サンヒョンは患者の妻であるテジュに女性として意識し始める。

◆感想◆
ストーリーはかなり変わっており、神父のサンヒョンがヴァンパイアになってしまい、ヴァンパイアとしての本能とこれまでの生き方に食い違いが生まれ、苦悩していく中、卑下されていた夫人と不倫関係になっていくというヴァンパイア要素とエロス要素を絡めた作品になっています。

ストーリー序盤に出てくるウィルスについてはあくまで主人公をヴァンパイアにするためのストーリー上の道具に過ぎず、ウィルスとの戦いとか治療方法の確立などの展開は一切ないので忘れて大丈夫だと思います。

主人公のサンヒョン(ソン・ガンホ)は神父として生真面目で信仰に全てを懸けてきた人物ですが、ウィルスの影響でヴァンパイアになってしまいます。他人の生き血を必要とする身体になってしまったサンヒョンは意識のない患者から管で血を吸うシーンはシリアスだけどどこか滑稽でおかしかったです。

そして、サンヒョンが助けた患者・ガンウの妻・テジュ(キム・オクビン)に出会い、サンヒョンはテジュに好意を持ち、肉体関係を結びます。不倫であることもあってサンヒョンとテジュの性交シーンがかなり背徳的な感じがあり、サンヒョンが神父としてのしがらみが外れて、堕ちていく感じがして興味が尽きませんでした。

テジュという人物がストーリーが進むにつれて変容していきます。これが非常に良かったと思います。

一風変わったヴァンパイアの作品としてなかなか面白かったと思います。

鑑賞日:2023年8月31日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
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