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ゴッドファーザー・オブ・ゴアの堊のレビュー・感想・評価

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自ら手が足りなければカメラを回し、出演し、血糊を作る。このドキュメンタリーによって強調されるのはジョン・ウォーターズや本作の監督でもあるフランク・ヘネンロッターらによって崇め奉られているような『ゴッドファーザーオブゴア』なる人物というよりは、本来の場所で撮れなければ別の場所でゲリラで撮り、金払いが良ければ教育映画だろうがTV映画だろうが一秒であっさりと撮りあげてしまう、優れた実業家ハーシェル・ゴードン・ルイスの人生におけるほんのわずかな映画との蜜月の日々である。『ゴアゴアガールズ』であっさりと映画業界から手を引いた後のハーシェルはコピーライター、ダイレクトマーケティングで大活躍して完全に映画業界と離れていく。が、英wikiによると『The Uh-Oh! Show』という『死刑執行ウルトラクイズ/おだぶつTV』のようなあらすじの映画を2009年に公開しているのでそちらも観てみたい。儲かるもの、としてのみ映画を捉えていた人物が80sではその嗅覚でもってやっぱり広告ヘ行き、一財を成している。なんとなくここに角川春樹とか現場で手製料理を振る舞いまくるらしい丸山正雄を並置して考えてもみたくなった。
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