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アルカトラズからの脱出の堊のレビュー・感想・評価

アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)
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ちょっと最近あまりにもモンドな映画しか見てなかったので虚心坦懐初見シリーズ。イーストウッドが出てる映画全くみてないことに気づいた。というかスコセッシに至っては『ウッドストック』とイタリア映画紹介するやつしかみてない…。

「点呼が毎日12回ある。俺たちは数えるだけで1日が終わっていく」。たとえば激シブい台詞があったとして、それがこれ見よがしに顔のアップとハンスジマー重低音の中で言われるんじゃなくて、アクションの中で発せられる。止められることがない。主人公は本を配布するために牢と牢を回遊する。だから引いたショットのあと、リズミカルに牢の内側から切り返して順当に進めたくなる。でもドン・シーゲルはまじでさりげなく次に切り返されたとき、イーストウッドは全然違う場所にいる。映画内の時間は直線的なのに。しかもイーストウッドが言葉を返す時は肩越しの構図逆構図じゃなくて、もう徹底的に背中or正面で進めていく。広場でトレーニングするときの進め方も同じ。同じ方向を見た二人の正面と背中で繋いで語っていく。こういうことで積み重なられていくことが何より嬉しい。つくづくイーストウッドは大人の映画だと思う。妙にこれでもかと遅いし。

麺をちゅるちゅる食う→夢に出るほどスパゲティが好きだ→下を覗く→ネズミに食わしている→イーストウッドの両津勘吉顔、の流れも素晴らしかった。口笛が吹けないのも感動した。口笛吹けるかと言われれば吹けると言ってしまう程度に口笛吹けないので練習しときたい。
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