くりふ

キャリーのくりふのレビュー・感想・評価

キャリー(2013年製作の映画)
3.5
【ハサミと血と子宮】

オリジナル再見せず臨んだらわりと新鮮でした。予想通りのアイドル映画だった。タイトルは『クロエ・グレース・モレッツのキャリー』の方が相応しい(笑)。例のモノをどどと浴びても洗えばかわいいクロエに元通り、だしなー。

で、しつこい子宮から抜け出せたら相手を逆に閉じ込め返す…というおんなバトル映画でもありました。

監督についてはノーチェックでしたが、みていて女性監督だなー、と感覚でわかりました。そこがいちばん、み応えあった。冒頭の羊水にまみれる聖書、なんて、らしいです。

そして、続くホワイト母娘の「出会い」が物語の起点として巧いと思う。ハサミの使い方が面白くて。あのままへその緒を切らなかったように見える。その後、本来断つものであるハサミは、母娘をつなぐ象徴とも見える両義性を抱え、最後までなかなかの活躍を見せてくれますね。

この冒頭シーンの影響で、ホワイト家のパワースポット(笑)、神のお仕置き部屋がオリジナルよりも子宮に近い気がする。キャリーはそこから自力で生まれ直すんですね。そのためのサイキック。ドアの裂け目が陰裂に見えてしょうがない(笑)。

キャリーは、それなり繊細に演じ進める通常モードに比すと、AKIRAモード投入はかなり唐突に感じます。演出が大雑把とも思いますが、クロエちゃんが変化の階調をあまり見せられていないとも思う。まだまだ伸びしろありますね。

と、けっこうお肌は見せてくれますが、『HICK ルリ13歳の旅』虹色パンツのようなカワ悩殺が足りなかったのは残念無念(笑)。

それでも彼女に共感はできるから、プロム・カタストロフはなかなか爽快!(笑) どうせなら皆殺しにして豚のか人のかわからないくらいの血の海で溺れればよかったのに。決してそこから逃れられない、血の女なのだから。

ジュリアン・ムーアさんは、そのキ●ガイ演技に期待したのですが、この人は根がマトモに見えちゃいますねえ。囚われの皮を剥げば改心できそうに思うから、あのラストでは痛々しさの方が先に立ってしまうのでした。

全体、ホラーというより血の青春映画、でした。失う命に比べるととっても軽い仕上がりですが、クロエちゃんカワイイから赦しちゃうもんね。アイドル映画だから、これでいいのだ。

<2013.11.23記>
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