Violet

華麗なるギャツビーのVioletのネタバレレビュー・内容・結末

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

美しすぎる映像と言葉に2時間半という時を忘れて没頭した。原作を是非読みたい!
レオ様演じるGatsbyが本当に素敵。
スパイダーマンのTobey Maguireも良かったし、Elizabeth Debickiの圧倒的スタイルと美は流石の一言。好きです。

本作で描かれるのは1920年代を生きたThe Lost Generation(失われた世代)の若者たち。
彼らは、戦争で目の当たりにした死やその衝撃と、それに相反する戦後好景気による大量生産・大量消費の「狂騒の時代」との「矛盾」に苛まれながらも、目の前の煌びやかな世界を手放すことができない。
高級住宅地から少し車を走らせれば石炭の捨て場所と化した灰の谷(The Valley of Ashes)があり、アメリカの戦後好景気が虚構に過ぎないのではないかと誰もが疑ったはずだ(実際1929年のウォール街の世界恐慌でアメリカの戦後好景気は幕を閉じる)。
しかし、多くの若者はそれに気づかないふりをした。Gatsby邸で開催されるパーティーを楽しみ、煌びやかなファッションに身をつつみ、新たな芸術や文化を取り入れて前へ前へとAmerican Dreamを求めたのだ。
裕福だけれど満たされない、そんな彼らの「虚しさ」というものが豪華な映像からひしひしと伝わってくるのだから不思議だ。

そんな人々と一線を画して描かれているのがGatsbyとNickである。
豪華絢爛なパーティーを毎晩のように開催していた目的は、ただ愛するDaisyに気づいてもらうためだった。Gatsbyのこうした純粋な心にNickは次第に惹かれてゆき、目先の豪華なものに心を奪われて物事の本質を見ないふりをする多くの者たちに辟易していた。

悲しい運命を辿ることとなったGatsbyではあるが、NickがThe Great Gatsbyを執筆したことで、Gatsbyの過去は変えられたのではないだろうか。
まっすぐにGatsbyを慕ったNickの姿もまた印象的だ。

嘘偽りで塗り固められた富裕層の群れを、
最もシンプルに「愛」を求め続けたGatsbyの姿を、
周囲に流されずに友を最後まで見放さなかったNickを、
失われた世代の若者たちの成れの果てを、
Eyes of God(神の目)はすべて見ているのだ。

▼The Lost Generation(失われた世代)とは
ロストジェネレーションとは、第一次世界大戦を経験した若者のことで、彼らこそ戦後のニューヨークの都市文化を謳歌した人々だった。戦争の悲惨さとその後のアメリカの経済的な繁栄が、過去の価値観を否定しながらも、次のものを掴めないまま裕福さの中に漂う、こうした世代を生み出す。
ー「『グレート・ギャツビー』が書かれた時代とは」より

原作者のF. Scott Fitzgeraldはまさに失われた世代に当てはまる作家なのだ。

▼Favorite Quotes
•Can't repeat the past? Why of course you can!ーJay Gatsby
•They're A Rotten Crowd. You're Worth The Whole Damn Bunch Put Together.ーNick
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