アクションを見せることに特化した作りながら、人間ドラマにはしっかり強度があるし、各所でのスリルの高め方がお見事。どこかで見たような、クリシェ的表現に頼らず、オリジナルな工夫が見られる描写が多い。それゆえ生々しい緊張感が持続しているし、限られた予算の中で観客を楽しませたいって想いをひしひしと感じる。
冒頭から引き込まれる。ラスボスにあたる敵が、捕虜を銃殺していると突如弾切れ。引き出しを開けると転がる銃弾とハンマー。すかさずハンマーを手に取ると…という、つい笑っちゃうくらい露悪的なやり方で容赦なさを表現。次いで見張りの子どもが撃たれるところをスローモーションも使いながら劇的に見せる。ただものじゃない映画だと身構えさせられる。
その後も息つく暇がないくらいのアクションシーンの連続。最後まで作劇の勢いを緩めることなく突っ走る。
物語は必要最小限であるものの強度十分。作りとしてはRRRにも通ずるものがある。老若男女に共感の余地がある。友人のため、家族のため、正義のため。でも、それだけじゃないもうひと展開も用意してくれている。
序盤から中盤までは銃も交えた戦闘なものの、後半にもなると肉弾戦ばかりで、やや反復的な印象も。
敵1人vs 味方2人で立ち向かう展開にはやや萎えた。一切言葉を発さず戦闘を開始する感じは良かったけど。
