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LOOPER/ルーパーのmatchypotterのレビュー・感想・評価

LOOPER/ルーパー(2012年製作の映画)
3.4
実は結構てんこ盛りでとっ散らかってる。
近未来、タイムマシン技術ができました。でも法律で禁止されました。でも裏側で悪い人達が密かに使ってます。目的は殺しです。過去に送って“ルーパー”と呼ばれる殺し屋に殺させて死体を過去で処理しちゃいます。そうすれば足がつきません、と。なるほど、面白そうな話。

ここから2点ほど追加要素で話がややこしくなる。

1点目、“ルーパー”は組織との契約で切られると過去に送られて自らも“ルーパー”に暗殺される。過去の自分に。その時に報酬が送られ、そこから過去の本人は30年ほど自由を手にする。これを「ループが閉じる」と言う。
2点目、“ルーパー”の存在とは別に“TK”といういわゆる念動力を持つ特殊人間が約10%ぐらいの割合で生まれる。彼らは特殊な力を持つ人間として、関心を集めるも、少し恐れられてる。

これが“ルーパー”であるジョセフゴードンレヴィットの“ルーパー”生活に絡み始める。
ブルースウィリスが未来からやってきた。「未来の俺」らしい。
で未来では“ルーパー”が次々と過去に送られ殺されてるらしい。それは“レインメーカー”なる首謀者がいるらしい。ブルースはその“レインメーカー”を過去に来て幼い頃に殺しちゃおう、と企む。
ジョセフ、どうする?と。

大筋はこれで、これだけ書いても若干のネタバレはあっても、まだまだこれらを取り囲む環境と人物と組織の仕組みと時空移動のルール、過去と未来の自分の動きや記憶の連動ルール、などなど数多く注目し理解すべきことがあり、それらが色んなところで絡まって事が動き、ジョセフの行動の動機となるので、これぐらい予備知識として持ってから観た方が良いかもしれない。

ただ、難しくはないと思う。“ルーパー”の存在やお仕事内容、タイムトラベルのルールや両人の連動ルール、TKの能力は観てれば何となくわかる。
ただ、この近未来設定の程度が少し混沌としてることと、たまに時間軸が行ったり来たりするので、過去の何で誰の何が起きたからこっちではこうなる、みたいな世界観と時間軸がハッキリしてるようなしてないような、実際の未来で起きた話なのか、このままだとそうなっちゃうよ、の想定の話なのか。
この辺を曖昧にしてジョセフとブルースの動きに幅を持たせて、色んな可能性を示唆してる印象だがなかなか広い。こんなルールの中でみんながルールを理解して、何ならそのルールを利用して動いてるんだから、みんな頭良いな、と。
そういう意味では近未来かもしれない。

そんな中、組織の犬みたいな失敗ばかりで足を引っ張る馬鹿のドラ息子みたいな存在も健在だし、目薬みたいなはみ出しものが使うドラッグみたいなのもあるし、財産の隠し場所はいまだに床下だし、紙を印刷してるし、今と変わらぬモノもあって安心するものの、世界観の程度が未来過ぎず、なので色んな意味で過渡期の作品という感じ。

ジョセフが天涯孤独で結構サバサバしてるから、あんまり感情的でもなく捌いていくのでそれが少しでもわかりやすくしてくれる気がする。そして、あの潔さ、良い。
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