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パフューム ある人殺しの物語のmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.6
これ、劇場公開した当時に1回観たことがあったけど、あの時はまだまだ自分が未熟過ぎて“大人の香り”に惑わされて色々飲み込めなかった記憶。

その時を経て、再び。
その甲斐があって、主人公がベンウィショーだということに気付けた。
この人ととても相性が良い主人公の類稀な才能からことを発する数奇な人生と顛末。

何キロ先でも、どんな匂いも嗅ぎ分ける才能。
彼の欲望、それは“その匂いを保存すること”。

身寄りがないままなんとか育ち、下働きでやっと都パリに。
そこで、1人の女性の香りに誘われ、魅了されてついていき、そのまま殺してしまう。
その拍子にその匂いが消えてしまったことで絶望。

殺したことよりも、匂いが消えてしまったことに耐えられない彼の倫理観というか、何かを飛び越えてしまっている彼の才能。

香水の調合師に拾われたり、“香り”と彼の欲望に付き従い、ある意味剥き出しで純粋なまま我が道をいく。

その過程で、欲望が婉曲したり、追加されたり。
“香り”を巡って人生、人間性、本能、彼の全てがこの物語となる。

彼が生み出す香水が、自分を変え、他人を変える。
それが彼が生きる証明であり、存在価値であるかのように。

しかし、その過程で彼が行なってきた所業の数々により、当然無事では済まず、ハッピーエンドになるわけもないが、とはいえ、彼が行き着いた境地、、、。

その香りを保存する、ということは、その存在を保存するのと同義だ、という彼の絶対的な哲学がこの過程と結果を生む。

しかし、このクライマックスからのエンディング。

香り、、、目に見えるもの、触れるものではないからこそ、掴みどころがなく、でも確実に脳に伝え、残すもの。

それがどういうことか、という本当に“香水みたいな映画”。
という味わいがある映画、ということを再び観れて感じれた。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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