ひさな

パフューム ある人殺しの物語のひさなのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

アグレッシブ匂いフェチ映画。
また整えるけど、忘れないうちにメモ書き。

あの日街で見かけてうっかり殺してしまった女の匂いを手元で永久に保つため、殺人を繰り返す調香師が主人公。
思っていたよりグロ要素少なめ。冒頭の出産シーンくらい?
2時間30分という長さを全く感じさせない面白さだった。
アンティークっぽい色調の画面に咲き乱れる花々の鮮やかさが印象的。
主人公の台詞少なめ、表情で適度に表現、でも間延びしてない、最高。

唯一無二の才能を持ちながら、普通に人を愛し、人に愛されることは叶わなかったグルヌイユ。
処刑台のシーン、狂ったように愛し合う民衆に囲まれながら、それらを傍観するしかない。「愛を呼び覚ます」という至極の香水を以ってしても、グルヌイユ自身が人を愛することはできない。
モブカップルの口づけが「普通の愛」の象徴として度々クローズアップされてたね。

育ての親や、雇用主等、ささやかながら縁を結んだ人々も、主人公が去った直後、須らく死んでいく。徹底的に世界から隔絶された主人公。

ラスト、グルヌイユは自らの全身に香水をふりかけ、匂いに狂った故郷の下民たちに愛され、食される。(この映画の主題ではないけれど、「究極の愛はカニバリズムに帰結する」というテーマが大好きなのでラストまで本当に最高な映画だった。)
ただ普通に愛し愛されたかっただけなのに、正しい方法を知らぬまま絶望し、死を選んでしまうのでした。
ひさな

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