抹茶マラカス

舟を編むの抹茶マラカスのレビュー・感想・評価

舟を編む(2013年製作の映画)
4.1
良い人しかいない最高の世界で辞書作りを非常に長いスパンで描いた見ていて幸せにしかならない良作。狂ってない人も出来るじゃん!松田龍平さん!
 言葉の海に溺れていく描写を入れた後にヒロインの宮崎あおいが登場するのだが、明らかに意図的に満月をバックに収めておいて名前がかぐや。絶対疲れて見た幻だと思ったら、どうやらそうではない。でも彼女も夢を持っていてちゃんと自立している。これ辞書作りに没頭しすぎたらいなくなる(=月に帰る)パターンかと思いきや全然そんなことなかった。いいひとしかいないこと、馬締でマジメ、という設定など、実はリアルに見えてファンタジックというか、フィクショナルな部分が入ってることでそこを迷ったけど、これって別に悪いことではないと思う。
 かぐやさんを含めて、男として、とか女として、妻として、そういうことではなく、人間として素晴らしい人たちばっかりだったので本当に精神衛生に良かった。時間を飛ばすのもあっさりしている割に説明台詞とかも少なくていい描写多かったし。
 しいて言うなら、13年後以降に関わった面々の地獄のロードが肯定的すぎる気がするのと、そこへの顕彰がないというか、初期メンが思い出として強すぎて黒木華とか少し可哀想かな?という感じ。