抹茶マラカス

民族の祭典の抹茶マラカスのレビュー・感想・評価

民族の祭典(1938年製作の映画)
4.0
一言で言えば、アガる映画だ。
1936年ナチス政権下におけるベルリンオリンピックはオリンピックやスポーツが政治に利用された典型例として有名だが、その記録映画である本作もまたその点において利用されたものの一つであるのは間違いない。
何せ見ていてこんなにも高揚するのだ。30年代の記録映画とは思えぬスポーツの躍動感と音楽による昂ぶりはヒトラーがワーグナーを愛したことを思い出させつつ、人類が現在のように高度に科学化される前のスポーツの祭典がどのようなものだったかを見せてくれる。記録映画でありながら暗闇の棒高跳びやマラソンなど、意図的に後で撮り直した再現なども含まれていることがドキュメンタリーの嘘つき具合を示す教材でもある
日本人選手も活躍しているが、ラジオでしかベルリンオリンピックは情報が入らなかったというから映画の果たした役割は大きい。こんなもん戦時下に見せられたらナショナリズムがバンバン刺激されるはず。
三段跳びの金メダルをとった田島選手がしれっと走り幅跳びで銅メダルを取ってんのに1番びっくりした。フェルプスみたいなことしてんのね。