theocats

トールマンのtheocatsのレビュー・感想・評価

トールマン(2012年製作の映画)
3.0
ネタバレ
白人貧困層児童を救済する思い上がった思想

鼻持ちならない主題的にも何度もの誤誘導が組み込まれているという点においても実に不愉快な映画。
本作は実は映画の中のような「博愛的理念主義者」達がプロパガンダとして作ったものではなかろうか?とさえ思えてくる。

歴史を振り返ればアメリカネイティブやオーストラリア・アボリジニの児童隔離教育システムも、それが「非文明的児童たちにとっては幸福な事」との傲慢な白人的博愛主義が背景にあったのかもしれない。

非文化的環境下で劣った大人たちに育てられれば劣った人間にならざるを得ないが、文化的環境下で「優れた」大人たちに育てられれば聡明な人間になる可能性は飛躍的に高まるであろう。
とは言っても映画の中の「善人達」の仕儀仕業は単純な人殺しよりももっと酷い極悪犯罪に思える。
残された親たちの尊厳と「子への愛情」を完全に踏みにじっているわけだから。

これも一つの優性保護思想なのだろうね。

本作は全くのフィクションか? 博愛主義的極悪人たちのプロパガンダ映画なのか? それともそれらの組織を知る人間の警告的作品なのか? いずれにしろ映画としての上手さは認めえても、実に嫌な感覚がべったり残っている。

002010
theocats

theocats