akrutm

ハハハのakrutmのレビュー・感想・評価

ハハハ(2010年製作の映画)
3.8
カナダへの移住を決めた映画監督とその先輩の映画評論家が酒を飲みながら語り合うという形式で、お互いに別々に訪れた港町トンヨンでの二人の恋愛模様を描いた、ホン・サンス監督の恋愛ドラマ映画。映画監督であるムンギョンは、ふぐ料理店を経営している母に会いに訪れたトンヨンで、観光ガイドの女性に一目惚れして、彼女を自分に振り向かせようとする。一方、映画評論家のチュンシクは、不倫相手の女性との旅行も兼ねて後輩と再会するためにトンヨンを訪れる。

同じ場所を同じ時期に訪れた二人はそこで会うことはなかったが、一方で二人がそこで関わる人々は同じにも関わらず、そのことをお互いに知らずに話が進んでいくという(わざとらしいとも言えるほどの)滑稽さが本作の見どころであり、食、酒、タバコ、会話といったホン・サンス流のお決まり演出は健在ながらも、明快なストーリーに基づいた万人受けする恋愛映画に仕上がっていて、いつものように映画監督が主役でありながら映画監督という職自体はストーリーにほぼ関係ないという点でも脱ホン・サンス化された作品であり、ホン・サンス初心者でも十分に楽しむことができる。でも換言すると、「ホン・サンス」マニアにとっては物足りない作品とも言えるだろう。

映画監督に一目惚れされるヒロイン役のムン・ソリは、美人ではないけれどどこか惹きつけられる魅力がある。なぜおんぶなのかは理解できないけど、結末に表れる女のしたたかさは怖い。個人的なイチオシは、男にだらしない女性を演じたキム・ギュリ。なかなかの美貌である。
akrutm

akrutm