風来坊

ジャッジ・ドレッドの風来坊のレビュー・感想・評価

ジャッジ・ドレッド(2012年製作の映画)
3.5
過去レビュー投稿。

核戦争で荒廃したアメリカの最後の巨大都市メガシティ・ワン。
街の秩序は警察と司法を兼ねた、逮捕から判決、刑の執行までもを単独で行える司法官、通称「ジャッジ」によって保たれていた。
そんなジャッジのなかでもトップの能力を誇るドレッドは、ジャッジ候補生カサンドラを現場で研修も兼ねた適正判断をすることになるが…。
イギリス、南アフリカ合作のSFアクション。

シルヴェスター・スタローンさん主演版の印象が強いジャッジ・ドレッド実写版。今作はイギリス、南アフリカ製作と云う事でハリウッドは関与していなくて驚きました。
ハリウッド版は荒唐無稽で原作漫画を、そのまま実写にしたような娯楽大作でしたが、本作はより現実的で娯楽部分を抑えたシリアスな雰囲気になっています。

世界観もハリウッド版では遠い未来と云う感じでしたが、本作はより近未来に近づけた感じです。
ジャッジの装備品やバイクも地味な感じで「あれ?」って感じです。
でもジャッジ・ドレッドのツボは押さえていて、ID銃のくだりは思わずニヤリとしますね。

シリアスなジャッジドレッドもこれはこれで面白いですが、個人的には笑う要素もありド派手なハリウッド版の方が好きですね。
やっぱりスタローンさんの存在感が活きてましたよね。
ヘルメット被っていてもあの割れアゴの存在感でスタローンさんと分かるし、あの割れアゴが感情表現していましたね(笑)

本作の主演俳優のカール・アーバンさんは、それに比べるとかなり地味です。ハリウッド版とは違い本作はヘルメットを本編中に1回も脱ぎません。顔の演技は口元しか出来ないので、その厳しい条件のなかでは頑張ってましたけど。

でもスタローンさんみたいに割れアゴがないので、後半に他のジャッジと闘う場面があるのですがどっちがどっちか判らなくなります(^^;)
ストーリーもかなりこじんまりしたお話ですね。
悪党が牛耳る高層マンションに閉じ込められて孤軍奮闘すると云うのは、インドネシア映画「ザ・レイド」を彷彿とさせます。


ドレッドに訳ありの相棒をつけたのはスパイスとして成功していると思います。また、ハリウッド版はスタローンさん演じるドレッドが圧倒的に強くて、どんなにピンチを迎えても悲壮感を感じませんでしたが、本作のドレッドは現実離れしてない感じで好感が持てました。

でも…ドレッドなのにあんまり強さを感じないのはどうかという声もあるようですが…。
悪役はハリウッド版に軍配が上がりますね。
本作の悪役の女ボスのママもインパクトはありますが、ハッキリ言って出落ち感が強い。その後はイマイチ存在感を感じません…。
顔ももっと崩せば威圧感が出たのになと思います。

本作はハリウッド版に比べるとジャッジ・ドレッド感と云うかヒーロー感が薄いと思います。
ドレッドは人間臭くてそんなに飛び抜けて強さを感じない…しかしその等身大のドレッドはにリアル感を感じてかっこ良かったです。
やっぱりハリウッド版の方が好きですが、これはこれで充分にアリです。

全体的には始まりから終わりまで飽きる事なく鑑賞できますし、シンプルなストーリーも逆に分かりやすくて良いと思いますし、アクション映画として良い出来だと思います。

しかしながら「ジャッジ・ドレッド」と云うよりは、ジャッジ候補生の訳ありの女性の成長を描いた映画かなと思いました。
全く新しい「ジャッジ・ドレッド」として観た方が良いかも知れません。
風来坊

風来坊