鹿江光

王になった男の鹿江光のネタバレレビュー・内容・結末

王になった男(2012年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

≪90点≫:本当の“王”とは。
本当の王と道化の影武者、そこから来る世界観の違いで笑いが生まれ、宮廷の権威争いが映し出され、かつ陰謀と裏切りの緊張もあり…。イ・ビョンホンの演じ分けが凄まじい。
何をもって“本当”とするのか。本当になろうと努力する“偽物”こそが真の本物であり、価値があるのかもしれない。彼は記号としての王には成れなかった。しかし、少なくとも誰かの中では間違いなく王である。道化の生き方を受け入れた王も、最後には本当の王となる。“王”は道化であり、宮廷の王もまた“成った王”なのである。そういう意味で、この作品に存在する王の器は、始めから1つであった。
自らの希望を、意志を、自らの軸から決して離さず、暗闇の荒野に道を切り開く“覚悟”があれば、王になれるのだ。
権威としての“王の仮面”を意識しているようでは、“王”にはなれない。
鹿江光

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