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王になった男のmatchypotterのレビュー・感想・評価

王になった男(2012年製作の映画)
3.9
先日、韓国の宮廷サスペンス『梟』を観て、宮廷モノもたまには良いね、となり、これを思い出す。

イビョンホンが韓国代表の俳優の1人となったことを決定づけたような作品、『王になった男』。
1600年代初頭の韓国の王とその影武者の両方を見事に演じ切った彼の代表作の1つ。

シンプルに面白かった。面白いと聞いたことはあったけど、思って以上に。最後は胸が熱くなる。

毒殺を恐れ、もはや疑心暗鬼が頂点に達し、暴君とかしている王。
その王が、自分が殺されることを案じて、そっくりの影武者を探せと家臣に命じる。

それで連れてこられたのがそっくりの道化師。
飲み会の席で“そっくり”を利用して茶化して盛り上げるその道化師ハソン。

そんな矢先に暴君が病に倒れ、さっそくその影武者道化師が王が回復するまで代役に仕立て上げられる。

王を冒涜するその芸風から大罪人扱いされながら、他に手段はないとなり、顔が似てるだけの付け焼き刃の“代役”の王政が始まる。

常に謀反や暗殺に怯えながら、国内、外交の政治の真っ只中に放り込ませる“そっくり”ハソン。

影武者だと知っている者はほんの一握り。
王のしきたりや作法も理解できずワタワタ。
まさか王がそんな作法や手順で生活しているとも知らずてんやわんや。

儀式的な謁見や、手続き、政治議論も多く、とにかく1つ1つ厳しく指導されながらギリギリでこなしていく。

しかし、それを必死にバレないように、とにかく頑張ってるうちに、、、彼が国を思い、人を思い始める。
そして、その意思と姿に“影武者”を知るごく一部の家臣達も“何か”を感じ始める。

いつの間にか暴君とか化し、正常に国を動かせなくなってしまった王の歯痒さもありながら、代役の道化師の“影武者”活動で光が差すこともある。

そして、代役になったことで僅かに起きる変化により、裏で蠢くモノが炙り出され、逆に裏で蠢くモノに勘付かれていく。

道化師で見た目の代役だったハソンが、言われるがままにやってることに疑問を持ち始め、良いことのように思えることもなぜだかうやむやにされていることに気付いたり。

“本物”ならば見向きもしない家臣や召使い達へ気遣い始めたり。
サウォルや王妃とのやり取りや、勉強する姿、あれこれ彼なりにバレないように画策する様はとても人間じみてて良い。

王とは、王の役目とは。
彼も彼なりに拗れた王政や人間関係に気付き始め、彼も彼なりの正義を見つけていく。

駆け引きや王の重責で疑心暗鬼で暴君とかした王、それに代わる変わり者の影武者。

彼なりの振る舞いや言動が何かを変え、自分を変える。
そして、その変化を怪しむ者も出始め、いよいよその正体も、、、。
彼が“影武者”の役割を超え始めていく話の展開に気付くとのめり込んでいく。

宮廷の話だから小難しい政治や陰謀、サスペンスもないこともないが、それを“影武者”のドラマ仕立てでコメディ要素も盛り込んだエンタメで面白かった。

この“本物”と“影武者”のギャップ。イビョンホンのギャップも、演出各種のギャップも。
明暗が分かれていて、作品の雰囲気の幅を広げてて良かった。

※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
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『matchypotterと映画の秘宝』
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作品単発のレビューはここでやっているので、こちらは企画記事メインに挑戦したいと思います。
皆さん、時間がある時にでも見に来てください。
(まだ始めたばかりでお粗末が過ぎるブログですが)
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