ねぎおSTOPWAR

ラストスタンドのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ラストスタンド(2013年製作の映画)
3.8
一言で言うなら、<65歳のシュワルツェネッガーがアクションに帰ってきた!>という映画。
興行的には失敗したそうだけど、結構楽しく観れたけどなあ。
まあアメリカ人にとっては全盛期の彼が幻影のように残っているのでしょう。

もうひとつこの映画で注目なのは韓国のキム・ジウン監督が起用されたこと。
同時期に「イノセントガーデン」で 同様のチャレンジをしたパク・チャヌク監督は友達というのも縁かなあと。とにかく重要なのはアメリカ映画にキム・ジウン監督が飛び込んだって点でしょう。撮影監督は韓国のキム・ジヨンさん。
今キム・ジヨンって言うと「82年生まれ・・」が出てきちゃいますけど、男性の撮影監督/カメラマンです。
キム・ジウン監督とは
「甘い人生」
「ラストスタンド」
「密偵」
と3作組んでますね。
他だと
「スウィングキッズ」
「エンドレス繰り返される悪夢」
「怪しい彼女」などなども撮影担当していますね。
タイトル見ると、これはどう見ても最高のアイディアと力を持った撮監ですよね!!



監督も言っているように、韓国との映画のスタッフワークが違い過ぎて、そこ苦労したそうです。たぶん日本のやり方は韓国に近いと思います。ユニオンも厳しいですしね。
だからどこまで「自分の作品だ」と言えるのかなんとも計りかねますが、シュワちゃんとの信頼関係はだいぶ築けたようですよ。彼の「グッドバッドウィアード」(2008)で西部劇アクションを撮った経験も生きたことでしょう。
興行成績も伴えばもっと良かったし”次”もあったんだろうなあ。

あっ、フォレスト・ウィテカーの横のアジア人、ダニエル・ヘニーは韓国系の俳優で韓国ドラマにも・・「春のワルツ」「私の名前はキム・サムスン」他に出演していますよ!

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しかしですよ、なんて羨ましい状況の韓国映画界。
人口は日本の半分だったから、最初から自国外のマーケットを意識して狙わないといけなかった・・・こういう作用だったと、多くの人が指摘します。それにしたってみんなが長きにわたり懸命に取り組まなければこうはならない。
仮に日本が企画から「海外だ!!」ってやってもそうそう簡単に行かないことが想像できます。それは・・

〇 育成の問題(学校の少なさ!)
→いくつかあってもアニメーションやCGに学生は集まり映画人気の衰退が背景
→教えるのが古い日本の人で・・
→さらに言うと総合高校など増えていても、商業映像を教える人材がいない!
〇 そこの政府の助成の不足
→クールジャパンとは口だけ。共同製作国の契約すらままならない。及び腰。
→いや、国内マーケットじゃないと電通に旨味がないないから政府は積極的にならない
〇 だから映画を食い物にする電通の排除
〇 食べていくための監督の権利(著作権!ここかなり日本は痛い)
〇 役者に演劇をきちんと教える教育システム(舞台しかない)
→現状そのメソッドは新劇系に残るのみ
→テレビ演劇ではディレクターがOK出すだけで指導は皆無
→そもそもテレビディレクターに役者育成を求めるのは酷
〇 俳優系事務所のキャスティング介入の問題
〇 俳優、技術スタッフが留学するための語学支援

・・・これら挙げたものって韓国はかなりきちんと出来ています。少なくとも日本よりは。
アカデミー賞生放送でも行定さん言ってました。「日本映画は自国でなんとか・・じゃなくてこの舞台(アカデミー)に立つことを意識して作品作らないと!」って。この発言は大事ですよね。武正晴監督も若手には「とにかく海外行け!」って言いまくってるそうです。
また、中国のように資本から参入していく方法もあるわけですが・・。


・・そこで・・

もちろん製作がどの国であれ監督の人種がどうであれ、作品単体であーだこーだというのも当然なんですが、日本を応援したいのなら、海外チャレンジしたり、メジャーの枠組みじゃないところで奮闘する監督やプロデューサーが作った作品を、みんなせめてもっとあったかい目で応援して欲しいなあって。


是枝監督の「真実」
長谷井宏紀監督の「ブランカとギター弾き」
武正晴監督の「全裸監督」(Netflixだから全世界が対象)
廣木隆一監督の「彼女」(Netflixだから全世界が対象)
ほか

特にNetflixって評判悪かったら次がないし、一度日本は見捨てられそうになったんですからね!最悪日本から撤退。日本作品は消え、サービス提供も終わる・・。あくまで個人的な意見ですが・・、観る側の眼も鍛えていかないとですね!