くりふ

テッドのくりふのレビュー・感想・評価

テッド(2012年製作の映画)
3.5
【リビドー・オブ・ザ・リビングテッド】

出だしのユダヤ人ボコボコでウケて、こりゃイケそうかと思ったけど、土台のユルさが災いしたか、あまり盛り上がりませんね。これは北米オンリーネタが多いせいでもないと思う。

魂宿ったテディベアがオヤジ化したら?という思いつき止まりで、その先が意外と薄い。んでフラッシュゴードンネタをここまで話に影響させちゃうのってどうなん?…面白かったけどさ(笑)。

もしもイマジナリーフレンドが実体化して、そのまま消えなかったら?

…そんな話として捉えましたが、ジョン8歳の時実体化、てのが興味深く。イマフレは大体8歳で消えるそうですが、本作の主人公はそこが始まり。人物像が透けますね。

で、30半ばでも変われないのは勿論本人が悪いけど、冒頭で消えてしまう親も悪いよね。スタークマの恩恵で親業鈍ったのかな?

テッドは「カワイイ」仮面を被ってはいても、ジョンの影ですよね。彼が何となく抱える欲望を、直球で代行してしまうような役どころ。

二人の大喧嘩で、テッドがオレのせいにするな!と叫ぶけど頷いちゃった。ジョンにとってそれは、天(お星様)に唾するようなものでしょうからね。

土台がユルイと書きましたが、原因はジョン本人の曖昧さがすべてかも。テッドへの想いがどうもあやふやで、テッドの存在自体が曖昧になってる。ベストフレンドと言いつつ遊び仲間でしかないし。恋人でなくセフレ(笑)。

で、自分の一部が外部化したような存在だから、テッドを自立させることは、ちょい病的にも見える(笑)。あ、だからカラッとした笑いにならないのか?

そもそも何となく願ったら、ジョンのそれだけが叶ったのはなぜだろう?メディアが垂れ流す楽しさに浸り、何となく生きられた気がする80年代。

ひょっとして空でお星様もカウチポテトしていて、たまたま見ていたのが、『フラッシュ・ゴードン』だったのか?…それならまあ納得…か?(笑)

テッドには、ジョンのオマケを超え、彼の存在を脅かして欲しかった。個人的にもっと面白くできたポイントは、その辺りのような気がします。

順当な収束を考えると、テッドが「還る」ことが一番丸く収まりますよね。が、本作は結末でちょっとした変化球を投げていて、ここはちょっと驚いた。もしや本作、ジョンの恋人ロリーの物語と捉えた方が、面白いかもしれない。

ところで、テッドの股間仕様はどうなってんですかね?(笑)スーパー店員、デニス・リチャーズ似のお姉ちゃんとのアレと、ノラ・ジョーンズとで話違うし。代用品脱着可で「熊ん子」付けるとか?(笑)

にしても、ハリウッド映画でうんこ見るの久しぶり。井口昇が喜びそうだ。

「カワイイ」に洗脳されやすい日本では本作、ウケてるみたいですね。お陰で近場のシネコンで拡大公開始まり、ポイント消化でタダ見できました。

そこが一番笑った、というのがちょっと寂しいけれど、フラッシュ・ゴードンで大爆笑できて、愉快なひと時ではありました。

<2013.2.12記>
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