月うさぎ

テッドの月うさぎのレビュー・感想・評価

テッド(2012年製作の映画)
3.9
下品すぎる中年“エロテディベア”。それでもカワイイのはなぜ?
下ネタとブラックジョークに笑い、そんでもってちょっと泣ける。
……だけの映画じゃないです。
映画の手法とアメリカのコメディ映画のスタイル(リアル一辺倒でファンタジーがない)に対する大いなる挑戦でもあったのです。

『テッド』は現代的でシュールなアドリブ的コメディーと、1980年代のファンタスティックなスピルバーグ的マジックの混合を目指したのだそうです。

監督曰く「 R指定の『E.T.』のように見てもらえたら嬉しい!」とのこと。

【ストーリー】
クリスマス・プレゼントのテディベアに命が宿った!友だちのいないジョン・ベネット少年は、奇跡のぬいぐるみテッドと永遠の友情を誓います。
それから27年・・・
若くして成功したスターのおきまり路線通りに成長?したテッドはマリファナを吸ったり風俗嬢を家に連れ込んだりのトンデモなぬいぐるみになっていたのでした。

テッドの存在のせいでジョンは恋人ローリーと微妙な関係に……
二人の友情はどうなるの?


ぬいぐるみはもちろんCGなわけですが、やけに動きが自然で人間チック。
どうやって撮ったの?と思って撮影裏話をのぞいてみたらすごいんです。

監督セス・マクファーレンは、若干38歳。これが初の長編映画だそうですが、
監督、脚本、原案、製作、テッドの声優の1人5役を務めているのです!
テディの動きと声はセス監督が現場で「実演」していました。

アドリブ連発の二人のマシンガントークの掛け合いがお見事なのですが
これがまたなんと、生トーク!だったんですね。
(私は英語版で観ています)
いずれにしてもセス監督あってテディの命があることは間違いないでしょう。

それにしても何て汚い言葉ばかり喋ってるのか(どこがE.T.やねん)
F●CK、SHIT、fartとか ”Suck my dick!"
耳をダンボにして聞いてみてください。こんなことばっかり言ってます。

吹き替えと原語とどちらがいいか?なんて話題も活発のようですが、
本物はコメディアン、声優、ミュージシャンとして活躍してきた才人のセス・マクファーレン。
しかもそもそも「アテレコじゃない」訳ですから比べようがないですよね。

私は吹き替えが全部NGとは思っていないのですが、
(例えば所ジョージさんなんかすごく好き)
有吉にこの躍動感、リズムのよさやキレがあるのか?
100%無理。
そのかわり、ゆる~い良さという別の魅力はでるかもしれないですね。
(何で有吉?Tedに顔が似ているから、って発想でしょう)

この映画のもう一つの魅力は80年代映画へのオマージュ。

フラッシュ・ゴードン、E.T、スター・ウォーズ、インディー・ジョーンズ、007、などなどパロディーが豊富です。
きっと映画通ならもっと気づくでしょう。
音楽にも注目です。
ティファニーの大ヒット曲『I Think We're Alone Now』。懐かしすぎる!踊りがキモい(^^)
ネタがありすぎて、全部ピックアップなんて絶対できなそう。

サプライズなカメオ出演もあります。
『フラッシュ・ゴードン』のサム・J・ジョーンズ、『エイリアン2』のビショップ、『トップ・ガン』のトム・スケリットは、ご本人登場
主題歌も務めているグラミー賞歌手のノラ・ジョーンズも本人役で出演!すごい!

TED2の製作もすぐに決まって、そちらも大ヒットだったらしいですね。

アメリカン・カルチャーをネタにしたジョークが多く、外国人の私達には通じません。
大体Fワードをどう訳せと?
くまモン、ガチャピン、星一徹、七五三…。翻訳者の苦労が偲ばれます。お疲れ様。
月うさぎ

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