【溜まるのことのない実感】
寂しさとは災難だ。
ある日、事故でも起こるかのようにやってくる。
心の準備なんて待ってくれない。
そんな寂しさを埋めるように人はインスタントな手段で寂しさを埋める。
考えてみればこの世はそんな寂しさを埋める代用品で溢れている。
この物語にでてくる空気人形もまた代用品の一つだ。
人形に空気を満たすように生きるを満たしたいのにその実感はいつまで
たっても溜まることはない。
そうして人は生きているという実感を味わうためにその埋めるもモノを探している。
街の喧騒の中ふと独りでいることを芯に感じる。
テレビを消して布団に入るとき冷蔵庫のブーンという音が孤独を呼んでくる。
今作ペ・ドゥナの演技がピタリと当てはまる。これは彼女にしかできない。
元々これを借りたのも彼女のパッケージに惹かれたからだ。
リリィ・シュシュのすべての岩井俊二にも通じる世界観。
または浅野いにおの世界観。
好きな人は好きな世界観だと思う。
今の僕にはお腹いっぱいの世界観なんですけどね(笑)
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