イチロヲ

空気人形のイチロヲのレビュー・感想・評価

空気人形(2009年製作の映画)
3.0
情緒を覚醒させたラブ・ドールが、周囲の人間模様を観察しながら、自身の存在意義を模索していく。韓国の人気女優ペ・ドゥナを招聘している、ヒューマン・ドラマ。

自律した等身大ドールの視点を通して、「社会的弱者にとっての癒やしとなる存在(=人間讃歌)」を説いていく作風。元恋人の代替を求める心理をメインに描いているため、ラブドール愛好家の多様性は掘り下げられていない。

全体的にトリッキーな題材ゆえのノイズが過多になっている印象。自律した人形が白痴同然であるにもかかわらず、不審感を抱く者が居らず、職にまで就けてしまう。すべての登場人物が浮世離れしており、物語の進行上、都合の良い言動しか取らない。

ペ・ドゥナの魅力を楽しむことはできるが、押し付けがましい社会風刺とヒーリング系のフワフワした世界観に、イマイチ乗り切ることができない。あと、股間に装着するオナホールは、裏返し洗浄可能のタイプにするべき。
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