書庫番

藁の楯の書庫番のレビュー・感想・評価

藁の楯(2013年製作の映画)
2.0
2013年5月1日 劇場鑑賞。

鑑賞後に思うところ有って、文庫本をチェック。
・・・・・・やはりね。
脚本家の林民夫氏には申し訳ないが、原作の良さが生かされていない。
いや、殺してしまったと言ったほうが正しいか・・・。
原作と映画の筋が全く同じである必要は勿論ないが、設定を弄った上に、その魅力を落としたらその映像化は失敗と言われても仕方がない。

10億円の懸賞金を掛けられた人間の屑を護送する事になったSPにも向けられる、日本国民の欲望と殺意。
前半の緊迫感が伝わってくる護送シーンは中々だが、その反動もあってか後半のダレ方が酷いと感じてしまう。
広い観客層に判り易い様に、 登場人物の設定やストーリー展開をベタな方向に弄ったのだろうが、その分物語に深みは無くなる。

本作の最も残念な点は、二つの大事なシーンに"同じシチュエーションを繰り返した”事だと思う。
これは観てる方には辛い・・・結末が読める場合は特に。

原作では銘苅の後輩で、未熟な男性警察官である白岩を、有能な女性SPに設定変更したのは、配給会社が準主役に女優を起用したいが為の策であろう事は間違いないだろうし、その事を
兎や角言うつもりはない。
ただ原作を読んだ限り、タクシー運転手の由里千賀子役に松嶋を充てて、原作と同じストーリー展開にした方が見応えがあったと、個人的には思う。
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