シュウ

君と歩く世界のシュウのレビュー・感想・評価

君と歩く世界(2012年製作の映画)
3.8
彼は気分で物事を判断する。彼の優しさは他者への思いやりではなく、自分の満足を満たすため。
満たされないと不機嫌になり、満たされると興味がなくなる。自分のしている事が、どんな悪影響を与えているか考えないで行動する。

自分の周りに誰もいなくなってしまう事を恐れながらも、他者と深く関わる事を恐れ、それを突きつけられると怒りをぶつける。そして逃げ、また失っていく。その繰り返し。

自分のお世話になった人に見捨てられ、失い、自分の最も身近な存在すらも失いそうになった時に、初めて他者のために自分の体を顧みず行動する。
そして、初めて失いたくないと他者に対して自分の言葉で表明する。
自分自身の人生の中に、他者の人生を内包する覚悟を持って生きて行く決断をする。

他者からの承認を求め、人が自分から離れていってしまう事を恐れながらも、他者と関係を築く事ができず、人を傷つけていくという螺旋。

自分の心の弱さとの向き合い方。人は弱い、だからこそ関係性を築き、補完し合い、共創していくことで、大きな可能性を生む事ができる。

他者との関係性の作り方、身近な人との向き合い方、共に生きる仲間との関わり方。そういった事を改めて考えさせられた。
シュウ

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