「才能のあるクソッタレ」ことキューブリックの有名な怪作。ずっと見たかったのだけれどなかなか機会が無く、満を持して鑑賞。正直この題名だけでお腹いっぱいになりそうだが、中身はもっと凄かった。
なんてブラックでシニカル… キューバ危機直後の冷戦下という当時の情勢を考えると恐怖すら感じるほどの突き抜けたブラックぶり。しかしそんな緊迫した状況にも関わらず、登場人物の大半が頭のネジが数本吹っ飛んでいるという強烈な対比がシニカルでコメディック。
ピーター・セラーズが3役も演じているなんて言われるまで気付かない。しかも常識人と異常者の演じ分けがこれまた凄まじく、強烈な印象を植えつけられる。
キューブリック映画はやはり構図、テンポ、間の取り方や選曲に他の追随を許さない圧倒的な突き抜けたセンスがあり、その世界観にはいつまでも浸っていたくなる魅力がある。キューブリックの白黒作品は初めてだが、最高に味があって溜め息が漏れた。
今まで自分が触れて来た様々なエンターテイメント作品が、大小に関わらずこの作品に影響を受けていることを猛烈に感じた。やはりキューブリックは良い。本当に。